公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本年度も昨年度から引き続きヒトSMC2/4ヒンジヘテロダイマーとDNAとの相互作用部位の特定を進めた。また、同時にSMCヘテロダイマーの結晶構造を決定した。その結果、従来、考えられていた、2本のコイルドコイルアームが開いたOpen構造をSMC2/4ヒンジヘテロダイマーはとらず、2本のコイルドコイルアームは同一の方向に向いたClosed構造を取っており、SMC4のコイルがSMC2のコイルドコイルに寄り添うように位置していることが分かった。HDX解析でもSMC4のコイルの先端部分に重水素への交換速度が低下した領域が観測されており、結晶解析の結果を支持していた。DNAとの相互作用部位は複数領域が特定されたが、その部位の一部はヘテロダイマーのサブユニット同士の相互作用領域の近傍に位置しており、この結果はヘテロダイマー間の一部が解離する可能性を示唆していた。以上のように、本研究の結果、コンデンシン複合体の中核サブユニットであるSMC2/4ヒンジヘテロダイマーの構造はOpen構造をとるコヒーシンや原核SMCとは異なっていることが初めて明らかとなった。また、領域内の複数のグループと共同研究を進め、複合体の化学量論決定や相互作用部位の特定に向けたデータをとることにも成功している。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、コンデンシンサブユニットとDNAとの相互作用部位の特定に成功し、さらに、領域内共同研究も順調に進捗しており、概ね順調に進展していると言える。
1アミノ酸分解能での相互作用・構造変化部位決定をHDX-MSにより実現するため、ETD(Electron Transfer Dissociation)ユニットを導入している。そこで、今後はETDを用いて、高分解能での相互作用部位決定を達成することが今後の研究推進の方針である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
PLoS ONE
巻: 8 ページ: e60294
Parasitology
巻: 140 ページ: 735-745
Sci Rep.
巻: 3 ページ: 2629