公募研究
最終年度である本年は、既に得られたSMC2/SMC4ヘテロダイマーの結晶データの精密解析、不足データの追加、HDX-MSデータの再解析、さらには論文の取り纏めを行った。まず、昨年度決定した結晶構造の精密化を行い1.89オングストロームでの結晶構造決定とすることに成功した。これにより、真核生物においては原核生物と異なりSMC2/SMC4がヘテロダイマー形成するが、この分子基盤を明らかとすることが出来た。また、これまでに報告されていたSMCの立体構造とは異なり、2本のコイルドコイルは並行となっており、そのため、ヒンジ領域でDNAと結合すると考えられている部位は露出していないことが明らかとなった。実際に、ヘテロダイマーは二本鎖DNAとは結合しないことが確認出来た。一方、ヘテロダイマーは一本鎖DNAとは結合することが確認出来たことから、一本鎖DNAとの結合についてHDX-MS解析を進めた。その結果、ヒンジの外側部分に重水素交換速度の低下が観測され、さらにヘテロダイマー形成に関与するヒンジの内側部分に速度の上昇が観測された。これらの結果は、ヒンジの外側部分にに一本鎖DNAが結合すること、さらに結合に伴ってヒンジの内側部分に構造変化が起こったことを意味していると解釈出来る。以上の結果を、取りまとめて、論文の投稿を行った。現在、審査中である。また、領域内共同研究として、東京大学の大戸らと自然免疫に関与するタンパク質TLR9の溶液中での相互作用状態の解析を超遠心分析を用いて行った。その結果、特定のDNAとの結合によりTLR9は二量体化することが確認出来、さらに、その2量体化の解離定数は20μM程度であることが明らかとなった。成果は2014年12月にNature誌にアクセプトされた。さらに、北海道大学の前仲とは免疫に関与するタンパク質LLT1に関する超遠心分析を行い、EJI誌に受理された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
European Journal of Immunology
巻: 未定 ページ: 未定
10.1002/eji.201545509
Sci. Rep.
巻: 5:8520 ページ: 1-7
10.1038/srep08520
Nature
巻: 520 ページ: 702-705
10.1038/nature14138
J. Biosci. Bioeng.
巻: 119 ページ: 505-510
10.1016/j.jbiosc.2014.10.018.