研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121730
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 匡史 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80532100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 構造生物学 / 積荷受容体 / 糖タンパク質 / X線結晶構造解析 / NMR解析 |
研究概要 |
血液凝固第V・第VIII因子の細胞内輸送は、カーゴレセプターERGIC-53とカルシウム結合タンパク質MCFD2の複合体からなる糖タンパク質選別輸送装置により担われている。本年度は、ERGIC-53による糖鎖認識メカニズムを解明することを目的として、ERGIC-53、MCFD2、α1-2マンノトリース3糖からなる3者複合体のX線結晶構造解析を行った。その結果、ERGIC-53はたった1残基のアミノ酸の違いによって、同一な糖鎖リガンドに対して2パターンの異なった様式で立体障害を回避しつつ相互作用し、これによって幅広い糖鎖結合特異性を獲得していることが明らかとなった。 また、血液凝固因子の細胞内輸送を理解する上では、ERGIC-53による糖鎖認識に加えて、MCFD2によるポリペプチド鎖との相互作用メカニズムを明らかにする必要がある。そこで、MCFD2が認識するアミノ酸配列をバイオインフォマティクス解析とNMR解析によって探索し、第Vおよび第VIII因子のBドメインに候補配列を見出した。以上本年度の研究を通じて、血液凝固因子ペプチドを用いて詳細な構造生物学解析を行う基盤を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ERGIC-53、MCFD2、α1-2マンノトリース3糖からなる3者複合体の結晶構造解析に成功した。本研究成果は、2014年2月3日付けの米国の科学雑誌PLoS ONEに掲載された [Satoh et al. (2014) PLoS ONE, 9, e87963]。以上、総合的に判断して概ね順調に研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに同定した血液凝固因子上におけるERGIC-53/MCFD2との相互作用部位を中心に構造生物学解析に最適な部分ペプチド配列を設計・作出し、これを用いて活性型MCFD2との相互作用をNMRを用いて精密解析する。さらに、X線結晶構造解析を用いて、ERGIC-53・MCFD2・血液凝固因子ペプチドの複合体の立体構造解析を行い、糖タンパク質選別輸送装置による血液凝固因子の認識メカニズムを解明することを目指す。
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