研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121731
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
柴田 直樹 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 准教授 (30295753)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Wntシグナル伝達 / 構造生物学 / 結晶構造解析 |
研究概要 |
細胞の分化・発生を制御するカノニカルWntシグナル伝達経路において働くAxin、Dishevelled (Dvl)、Low-density lipoprotein receptor-related protein 6 (LRP6)が構築するタンパク質複合体群の構造解析に向けて、試料調製と結晶化に取り組んで来た。AxinはWntオフの際にWnt標的遺伝子の転写を抑制するが、Wntオンの場合にはLRP6及びDvlの両者が結合することによりその働きが抑えられる。 最も研究が進んでいるDvl-Axin複合体については、両者に存在するDIXドメイン(それぞれDIX、DAXと略す)間の相互作用が重要であるが、これまで両者の複合体の結晶を再現性良く得ることが困難であった。しかし、平成25年度中にDIX-DAX複合体の結晶が再現性良く得られる条件を見出すことに成功した。針状晶で結晶のサイズが小さいため、より良質の結晶が得られるように発現系の改良と結晶化条件の検討を同時に進めている。LRP6については複合体の調製が困難であるため結晶化実験には至っていないが、単独での結晶化には成功しているので、その分解能向上のために結晶化条件の最適化と回折データ測定のための結晶凍結条件の最適化に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Dvl-Axin複合体については結晶調製まで成功しており、ほぼ計画通りに進んでいる。Axin-LRP6については複合体調製に成功していないので、引き続き複合体を形成する条件を検索する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
Dvl-Axin複合体についてはこれまでの研究方針を継続し、発展させることで目標を達成できると期待できる。具体的には両者を繋ぐリンカーの長さの最適化や点変異導入箇所の検討を行うことで、より良質な結晶の調製を行う。 Axin-LRP6については複合体が安定に形成できる発現系の構築を進める必要があるため、発現させる領域・長さの検討を行う予定である。また、LRP6単独で得られている結晶について高分解能での解析が行えるように、より良質の結晶が得られる条件を検索する。
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