公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
CCR4-NOTデアデニレースが、poly(A) 結合タンパク質 (PABP) やTobと協調して働く仕組みを構造生物学的に解析する目的で、Tob、 PABP、CNOT7デアデニレースの会合体の精製を試みた。1. 全長Tobに比し、C末端側52アミノ酸残基を欠失したTob293は可溶性、発現量は共によい(津本ら)。そこでHis-Tob293を発現させた。発現効率は3μg/ml培養液であった。Size-exclusion chromatographyで精製したものについて動的光散乱を測定したところ、8割がた aggregationしていた。一方全長PABP生成の為にGSTタグ、SUMOタグを付けたPABPを発現させた。それぞれ0.4μg/ml、0.3μg/mlの発現効率であった。GST-PABPは精製段階で断片化し、SUMO-PABPは発現量に限界があった。2. PABPのC末端側139アミノ酸残基(PABC) 内にTobのPAM2モチーフとの結合領域が有ることから、PABCを調製しin vitroでTob293と混合しSize-exclusion chromatographyによりTob-PABC複合体を得た。しかし共雑物を除く精製段階で複合体が容易に解離した。Tobが CNOT7とN端側で会合することが分かっているので、Tob、PABC、CNOT7の三者を大腸菌内で共発現させ、三者複合体として精製することを試みている。3. 一方、CNOT7-Tob138会合を阻害する化合物(#1と#6)とTob138との共結晶を得た。X線構造解析の結果、#1化合物がCNOT7との会合部位のW93に、また#6化合物がTobモノユビキチン化部位K63に結合することが分かった。
3: やや遅れている
本研究は、「CCR4-NOTデアデニレースが、poly(A)結合タンパク質PABPやTobと協調して働く仕組みを構造生物学的に解析し、デアデニレース反応/mRNA分解反応へのTobの寄与を明らかにする」ことを目的としているので、TobとPABPとCNOT7(CCR4-NOTのサブユニット)が会合している状態を構造解析することを計画した。そこでTobとPABPとCNOT7の三者を大腸菌で発現・精製し、複合体を作らせようとした。TobについてはC端欠失体Tob293を用いた。Tob293とCNOT7は、単独精製可能であったが、PABPについては量的に不十分であり、 Tob会合モチーフを持つPABCを用いた。精製タンパク質が凝集しやすい、量的に不十分などで、条件検討に予想以上の時間を要した。これまでTob293とPABCの会合体の調整まで進んでいるが、精製過程で解離しやすいことが分かった、同時にCNOT7を共精製することではこの問題を克服できると考え現在その実験が進行中である。従って順調に進行しているとは言い難いが、問題点を克服して来ており、遅れを取り戻せると考えている。
上述の様にPABC-Tob293-CNOT7複合体を調整できるところまで来ているので、それを進める。一方Tob293はCNOT1とも直接会合できるので、PABC-Tob293-CNOT7複合体が十分に調整できない場合を想定して、CNOT1上のTob293との相互作用部位の調整を始め、PABC-Tob293-CNOT1あるいはCNOT1-PABC-Tob293-CNOT7会合体の精製も予定する。
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Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 111 ページ: 2692-7
10.1073/pnas.1316932111
Sci Rep
巻: 3 ページ: 1305
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