研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121741
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鎌田 勝彦 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (70360526)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 染色体 / 核様体 |
研究概要 |
原核生物は、核膜をもたず、その染色体DNAは核様体と呼ばれる構造体を形成している。多くのバクテリアでは、SMC(Structural Maintenance of Chromosomes)複合体が存在し、核様体の構築と分離に関与している。この複合体は、ホモ二量体SMCと二種の制御サブユニット(ScpAとScpB)から構成され、複製開始点近傍に結合する蛋白質を足場にして染色体にリクルートされる。SMCはATP加水分解反応を担う領域(ヘッドドメイン)を有し、制御サブユニットはヘッドドメインの二量化誘導型加水分解反応を制御している。 これまでに、中度耐熱菌のSMC複合体のそれぞれサブユニットを用いて、その生化学的性質と物理的性状を調査してきた。その結果、制御サブユニット(ScpA-ScpB)の結晶構造を明らかにすることによって、その特徴的な結び目様構造を明らかにすることができた。また、ScpAはScpBの結合によって、大きくその分子内構造変化が示唆された。 昨年度は、構造機能的に重要と考えられる制御サブユニットのアミノ酸に変異を導入した。それらを全長のSMCサブユニット含む複合体(SMC-ScpA-ScpB)として精製し、そのSMCのATPase活性を測定することによって、異なる活性反応速度を示すものを選択した。また、それらの変異複合体分子の電子顕微鏡観察を行った結果、その幾つかは、野生型と明らかに異なる分子形態を有することが明らかとなった。この変異の導入によってSMCのATP加水分解活性も大きく変化することから、制御サブユニットの構造的変化がSMC二量体会合に深く関わっていることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器の不調で蛋白質調製がうまく行かなかったトラブルはあったが、おおよそ計画的通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多くの変異体を導入することで新たな知見が得られると考えられる。さらに、ヘッドドメインと制御サブユニットの複合体の結晶化を目指す。
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