研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
25122703
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷川 潤 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10332230)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経細胞 / 軸索 / 再生 / 神経損傷 |
研究概要 |
私はこれまでに、マウス坐骨神経障害モデルにおいて、障害部位に血管内皮細胞が集積すること、また血管内皮細胞の機能を制御することが報告されているTissue inhibitor of metalloproteinase-3 (Timp-3)が障害部位で発現上昇することを見出した。これらのことから、血管内皮細胞が神経軸索障害時の軸再再生や炎症誘発に何らかの役割を果たしていることが考えられる。そこで本研究では、(1)軸索障害部位における血管内皮細胞の役割の解析、(2)軸索障害部位で発現するTimp-3の機能の解析、を行うことにより、神経軸索再生を制御する新しい分子メカニズムの解明を試みた。 本年度は、研究計画に沿って、課題1「血管内皮細胞を特異的に欠損する遺伝子操作マウスの作製」を行った。当初計画ではPDGF-betaプロモーターを用いることを予定していたが、PDGF-betaプロモーターを用いたトランスジェニックマウスの場合、神経細胞での発現が見られる可能性があることが分かったため、endoglinおよびICAM-2プロモーターを用いた方法に変更した。これらのプロモーターの下流にジフテリア毒素受容体(EGF活性が無い変異型)およびIRES-YFPをコードする遺伝子断片を持つトランスジェニックマウスを作製中である。 また、課題4「培養血管内皮細胞に対するTimp-3の効果の検討」と関連して、培養血管内皮細胞に対するTimp-3の効果を検討するため、HEK293T細胞を用いたリコンビナントTimp-3の調整を試みた。培養上清中にTimp-3が分泌されるかを検討したが、western blotの結果、上清中への分泌はほとんど観察されなかった。また初代培養神経細胞での発現も試みたが、十分な量の発現を得ることができなかった。現在、大腸菌でのリコンビナントTimp-3の発現と精製を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血管内皮細胞特異的にジフテリア毒素受容体を発現するトランスジェニックマウスのコンストラクトに時間がかかってしまった。また、DRG神経細胞の培養がうまくいかず、条件検討に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
作製中のトランスジェニックマウスの解析、Timp-3の個体レベルでの機能解析、Timp-3の結合蛋白質解析などを優先して行う予定である。
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