研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
25122706
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
宝田 美佳 金沢大学, 医学系, 助教 (40565412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳虚血 / アストロサイト / 血液脳関門 |
研究概要 |
本研究課題では、アストロサイトに発現するNdrg2に注目し、病態時の血液脳関門の機能破綻と神経障害におよぼす影響、およびそのメカニズムの解明を目的としている。当該年度は、マウス脳虚血モデルの病態解析に重点をおき、野生型マウスとNdrg2欠損マウスの表現型解析を行った。 脳虚血モデルとして永久中大脳動脈閉塞モデルを用い、脳梗塞巣、アストロサイトの活性化、血漿タンパクの漏出について、組織学的および分子生物学的に解析を行った。その結果、野生型マウスにおいてアストロサイト活性化マーカーGFAPの免疫染色性は脳虚血後3日以降に顕著な上昇が認められたが、Ndrg2の免疫染色性はそれに先んじて脳虚血後1日において増強した。また、脳損傷後7日目のqPCR解析から、虚血側で認められるGFAPの顕著なmRNA発現上昇は、Ndrg2欠損マウスにおいて野生型マウスと比較して有意に減弱していることが明らかとなった。さらに、脳虚血後14日における脳梗塞巣サイズは、野生型マウスと比較してNdrg2欠損マウスにおいて有意に拡大していた。また、脳虚血後1日でみられる血漿タンパクの脳実質内への漏出は、野生型マウスと比較しNdrg2欠損マウスでより亢進していた。 以上の結果より、アストロサイトに発現し脳虚血に応答するNdrg2は、脳虚血後の血液脳関門の破綻に抑制的に働き、またアストロサイト活性化に促進的に働くことで脳梗塞の形成に抑制的に働く可能性が示唆された。今後は、Ndrg2の標的因子の同定に取り組むとともに、in vitroの解析を進め、病態形成におけるアストロサイトの関与と細胞間シグナルを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題ではアストロサイトに発現するNdrg2に注目し、病態時での血液脳関門の破綻や神経細胞死におよぼす影響、およびそのメカニズムの解明を目的としている。現時点において、脳虚血モデルにおけるNdrg2の発現変化を捉えており、また脳虚血後のNdrg2欠損マウスでは野生型と比較し脳梗塞巣や血液脳関門破綻の表現形に差異が認められるため、研究課題はin vivoの病態解析について順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、マウスでの脳虚血モデルの病態解析がより進行しているため、今後は、Ndrg2の標的因子の同定に重点をおき解析を執り行う。あわせて、病態形成への関与をin vitroの系を用いてさらに詳細に解析し、病態におけるアストロサイトNdrg2の役割を明らかにしていく予定である。
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