研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
25122710
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木戸屋 浩康 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00543886)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 血管形成 / 発生 / 再生 |
研究概要 |
本申請研究では、マウス皮膚の発生モデルを用いて、神経-動脈-静脈間の相互作用による併走性制御のメカニズムおよび、これらの併走性がもたらす生理的意義の解明を目的として研究を行う。神経-動脈-静脈が併走する分岐パターンを示すことは古くから認知されているが、その制御機構や生理的な意義は明確になっていない. 我々は、動脈-静脈の併走を制御する相互作用因子を同定するため、血管形成過程において動脈および静脈血管に特異的に発現が認められる因子の探索を行った。その結果、静脈血管特異的に発現が誘導されている分泌性タンパク質としてVSP1(venous specific protein1)を同定した。VSP1の動脈-静脈の相互作用への役割を検討するため、VSP1遺伝子を欠損するマウスを作成して解析を行ったところ、血管の走行性に異常が確認された。また、VSP1がどのような機構により血管の走行を決定するのかを明らかにするため、VSP1の受容体を発現する細胞を探索したところ、動脈血管以外のアクセサリー細胞が関与している事を明らかにした。この結果から、VSP1は間接的な経路にて動脈-静脈間の相互作用に貢献している事が示唆された。また、VSP1の静脈血管特異的な発現がどのようにして制御されているかの検討を進め、そのメカニズムの一端を明らかにした。加えて、血管神経の走行性の生理的意義を検討するため、走行性に異常が認められるモデルマウスを作成し解析を行った。その結果、神経-動脈-静脈の走行性が様々な成体の恒常性維持に関与していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究では、当初に目標としていた動脈-静脈の相互作用に働く分子として、静脈血管特異的に発現が誘導されている分泌性タンパク質であるVSP1(venous specific protein1)を同定する事が出来た。実際にVSP1遺伝子欠損マウスを作成すると、動脈-静脈の走行性に異常が引き起こされる事を確認している。さらにはVSP1がアクセサリー細胞を介した間接的な経路にて、動脈-静脈の相互作用に関与している事を明らかにした。加えてVSP1遺伝子欠損マウスを用いる事により、動静脈が併走する事の生理的な意義についての検討を行い、様々な生理機能に関与する事が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後も現在進行中の解析を中心に研究を進めていく予定である。具体的には、以下に示すとおりである。 ①VSP1のアクセサリー細胞へのシグナル経路について詳細な検討を進め、動静脈相互作用におけるVSP1の分子メカニズムを明らかにする。 ②静脈血管に対してVSP1の産生を誘導するメカニズムについて検討を進める。 ③VSP1遺伝子欠損マウスを用いることにより、動脈-静脈血管および神経-血管が正常にパターニングされる事の生理的な意義を詳細に解明する。
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