研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
25122718
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
水谷 健一 同志社大学, 脳科学研究科, 准教授 (40469929)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大脳皮質 / 神経発生 / 神経幹細胞 |
研究概要 |
神経幹細胞はNotch-Hesシグナルによって未分化性を維持することで、幹細胞の増殖と分化の均衡を調節している。本研究では、発生過程の大脳皮質において微小血管が極めて規則的に発生し「細胞生物学上の適時適所として働く」ことで、多段階で神経発生の調節因子として機能し、大脳皮質発生過程に重要な役割を果たすとの仮説を実証することを目指している。これまでの血管リポーターマウスの研究から、①発生過程の大脳皮質の脳室面では「血管が全く侵入出来ずに血管発生が抑制されている領域」が形成されることが明らかになっている。この領域は、②低酸素誘導因子HIFの発現が顕著に高く、③組織内の酸素濃度が1~2.5%程度に低く維持されていることが確認された。そこで、④1%程度の酸素濃度環境下で神経系株化細胞を培養したところ、幹細胞特異的に発現するHesなどの転写活性が促される一方で、プロニューラル遺伝子であるNeurogenin2やNeuroD1の転写活性が抑えられることが確認された。こうしたことから、脳室面に形成される「血管が全く侵入出来ずに血管発生が抑制されている領域」が幹細胞の分化制御に重要な役割を果たす可能性が示唆されたため、⑤この領域をマイクロダイセクションによって切り出し、この環境の構築を可能にしている分子機構の詳細を調べることを目的として、現在実験系の構築と発現解析実験を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発生期大脳皮質の低酸素環境の意義に関しては、おおむね予想されていた実験結果が得られており、順調に進展している。しかしながら、マウス発生期大脳皮質の血管が侵入出来ない領域から、コンフォーカルレーザーマイクロダイセクションを利用して微小組織を採取するに際して、様々な技術的障壁があり、現在実験系の構築に尽力している。緩和な固定剤を用いてRNAの品質を保った状態でサンプリングをする必要があるが、こうした固定剤の使用によって組織の状態が変化してしまう結果、凍結切片を作製する際に組織の状態が安定しないため、現状としては固定と脱水過程の至適条件の確立を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
「血管が侵入出来ない領域」が如何なる分子機序によって構築されるかについて、コンフォーカルマイクロダイセクションによる遺伝子発現プロファイリングを利用して、網羅的に発現解析を行う。加えて、この「血管が侵入出来ない領域」は、低酸素環境にあり低酸素誘導因子(HIF)およびHIF応答配列を有する数多くの分子の発現誘導が確認されていることから、HIF応答配列を有する遺伝子群による分子機構の詳細を解析する。さらには、「この領域の血管発生を抑制すること」が神経幹細胞の維持や系譜制御に重要な役割を果たす可能性があるため、子宮内エレクトロポレーションやタイムラプス解析を用いて、血管発生と神経分化の関連性の明確化を目指す。
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