研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
25122720
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤原 裕展 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, チームリーダー (20615744)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 細胞外マトリックス |
研究実績の概要 |
基底膜は、異種組織間の相互作用を仲介する薄いシート状の細胞外マトリックスである。基底膜の分子構成は領域ごとに特殊化されることが知られているが、基底膜が領域特殊化される機構や基底膜が組織間相互作用を仲介する機構はほとんど明らかにされていない。本研究課題では、毛包幹細胞と知覚神経複合体との間に局在する基底膜分子EGFL6に注目し、基底膜の領域特殊化が異種組織間の相互依存性の成立にどのように関わっているのかを明らかにする。本年度は以下の成果を得た。 1. 毛包バルジ上部基底膜がEGFL6で特殊化されるメカニズム (1)マウス皮膚組織をEGFL6と基底膜マーカーとで共染色し、高解像度で3次元観察した。その結果、EGFL6は毛包バルジ上部基底膜には取り込まれず、基底膜周囲に特殊な細胞外マトリックス構造を形成していることが分かった。(2)Egfl6発現細胞を同定するため、Egfl6プロモーター下にeGFP-CreERt2カセットをノックインしたマウスES細胞を作製した。このES細胞からキメラマウスを作製し、組織中のGFPの蛍光を確認した。現在、GFP発現細胞の同定を行っている。 2. 知覚神経-毛包幹細胞相互依存におけるEGFL6の役割 (1)Egfl6ノックアウトマウスにおいて、知覚神経複合体の構造と位置に異常が生じていることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGFL6の正確な分布パターンの理解とEgfl6発現細胞の同定に資するノックインマウスの作製は、バルジ上部マトリックスが特殊化される機構の理解に大きく貢献する。また、Egfl6ノックアウトマウスにおける知覚神経構造の異常は、EGFL6マトリックスの機能的重要性を示すものである。
|
今後の研究の推進方策 |
毛包バルジ上部基底膜が特殊化される機構の理解を深めるため、Egfl6発現細胞の同定、EGFL6レセプターの同定を行う。また、知覚神経-毛包幹細胞相互依存におけるEGFL6の役割を、Egfl6ノックアウトマウスを用いてさらに解析する。
|