本課題は、ゲノムアダプテーションを実現するための重要なエピゲノムのエフェクターであるヘテロクロマチン(高次クロマチン構造)の形成の分子メカニズムを、申請者が独自に見いだしたHBiX1タンパク質とヒストン修飾、HP1、SMCHD1、XIST RNAの相互作用を基軸にして明らかにすることを目的とした。具体的には、1)免疫染色、および、これらの因子のクロマチン免疫沈降産物を次世代シーケンサーで解析するChIP-seq法により、不活性X染色体上および核内での局在とその相互依存性を詳細に解析する、2)それぞれのタンパク質が持つドメイン、特にSMCHD1が持つSMCヒンジやATPaseなどクロマチンの高次構造に影響を及ぼしそうなドメインに着目して、機能解析を行う、3)XIST RNAとこれらのタンパク質因子がどのように連携して高次構造を作り上げているのかについて検討する、予定であった。 本課題は、他課題採択のためルール上6月末日で中止となった。それまでに、不活性X染色体のヘテロクロマチン化に関与するHBiX1およびSMCHD1の常染色体上での分布をChIP-seqの結果を再解析し、ほとんどのものがH3K9me3と共局在することを明らかとした。また、X染色体上のそれぞれのローカスが核内のどこに局在するかを明らかにするために多点、多色FISHの系を立ち上げた。
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