公募研究
着床前初期胚発生では、1つの細胞を数日の間に100個近くまで増殖させる。その間、確実な個体発生を保障するべく、遺伝情報は正確に複製・分配されると考えられてきたが、近年の研究から必ずしもそうではないことが明らかになってきた。申請者は、独自に開発したライブセルイメージング技術を用いて、マウスやサルの初期卵割時の染色体分配を観察してきた。その結果、健康個体の通常受精胚でさえ多くの胚で異常な染色体動態が観察された。興味深いことに、近交系マウスを用いた解析では個々の胚は遺伝的に均一であるにも関わらず染色体分配に異常を示す胚は一部であり、培養条件への摂動によりその割合は増えても正常なものは存在した。以上から申請者は、初期胚はストレスや加齢など外的環境変化に対しても確実に産仔を保障するため、例えゲノムが同一でも敢えて性質を不均一にさせることで一部の胚を生き残らせて遺伝情報の継承を確約しているのではないかと着想した。本研究の最終的なねらいは上記の仮説を検証することであるが、まずこの申請では、染色体分配という最も生存に直結する現象に関して、「初期卵割時の染色体動態を定量化する技術を完成」し、それを用いて「胚の不均一性を数値として表す」ことを目的とした。平成25年度は、共焦点ユニットのスピニングディスクを変更し、合わせてカメラの解像度を4倍向上させることで、生きたまま卵割期胚のM期染色体1本1本を識別できるほどに画像・時間分解能を向上させた顕微鏡システムを構築することに成功した。また、そのシステムを用いてヒト卵割期胚の長時間高解像イメージングに成功した。平成26年度は、前年度に構築したシステムを用いて得られた画像から自動的に染色体を認識させるアルゴリズムの開発を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件)
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