ブルーム遺伝子欠損状態のゲノム不安定性に関し、ブルーム遺伝子を一過性にオフに転換できるシステムを用いている。その上に今回は外的ストレスとして放射線を利用し、ゲノムワイドに二重鎖切断を導入した。ブルーム遺伝子がオフで放射線を照射した時のゲノム状態を同じ新学術領域の瀬々准教授がゲノム再構成を特異的に感度よく検出できる新規アルゴリズム、COSMOS、を構築し、全ゲノムを解析した。その結果、ブルーム遺伝子欠損状態に特異的にゲノムのある領域に集中してゲノム再構成が認められた。さらに全ゲノムに対するCGHを施行したところ、再構成を起こしている領域でコピー数が正常に比べ増加していることが判明した。このことは、ブルーム遺伝子欠損状態で誘導されるゲノム再構成は、ガンゲノムでよく観察されるchromothripsisによるゲノム再構成ではなく、複製を伴うchromoanasynthesis によるゲノム再構成であることが強く示唆された。
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