公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々は、脂肪酸伸長酵素Elovl6のクローニングおよびノックアウトマウスの解析から、それまで予想されていなかった脂肪酸の質と生活習慣病の関連を明らかにしてきた。さらに、Elovl6欠損マウスはショ糖に対する嗜好性が亢進することを見出した。本研究では、Elovl6欠損マウスのショ糖嗜好性の亢進の要因、特にその脳内機構について解析し、肥満を誘導する嗜好性に基づいた摂食亢進や、ストレスに起因した嗜好性食品の過食といった摂食障害の分子基盤の解明に貢献することを目的とする。本年度は、Elovl6ノックアウトマウスの各種飼料に対する摂食行動解析と、摂食行動や嗜好性に関連する化合物の投与がElovl6ノックアウトマウスのショ糖嗜好性におよぼす影響を解析した。Elovl6ノックアウトマウスは高ショ糖食を与えると野生型マウスに比べて摂食量が亢進するが、高ショ糖水やサッカリン水を与えた場合には、その飲水量は野生型マウスと同様であった。グルコースとフルクトースに対する嗜好性も検討中である。また、Elovl6ノックアウトマウスに対して、食嗜好性との関連が報告されているある神経ペプチド受容体に対する化合物を投与すると、ショ糖摂食行動が抑制されることを見出した。さらに、脳特異的Elovl6ノックアウトマウスを作製し、その摂食行動やショ糖嗜好性を解析した。Elovl6ノックアウトマウスと同様に、脳特異的Elovl6ノックアウトマウスでもショ糖嗜好性の亢進が認められた。したがって、Elovl6欠損によるショ糖嗜好性の亢進は、中枢におけるElovl6欠損によるものであると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
予定通りに実験が進み、データが得られているため。
Elovl6ノックアウトマウスのショ糖嗜好性に影響をおよぼす化合物の作用部位の特定と、ショ糖嗜好性亢進の分子機序の解明を目指す。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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http://www.u-tsukuba-endocrinology.jp/