公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
代表者は、中枢神経インスリン作用により肝脂肪合成系が抑制されること、中枢神経インスリン作用による肝エネルギー代謝調節が肥満に伴い障害され、そのメカニズムとしての肝小胞体ストレスが重要であることを見出している。インスリンは、肝臓に直接作用し、脂肪合成を促進する事が知られており、新たに代表者らが見出した中枢神経インスリン作用による肝脂肪合成抑制作用に関しては解明がなされていない。本研究課題は、中枢神経インスリン作用による肝脂肪合成抑制の生理的重要性と作用メカニズムの解明、肥満/インスリン抵抗性での肝脂肪合成増加における役割解明を目的とする。また、本研究課題では、中枢神経インスリン作用による肝臓脂肪合成抑制という肝臓脂肪蓄積の新規メカニズムの解明を行い、中枢神経インスリン作用の増強が、脂肪蓄積制御の破綻に対する治療標的となりうるのかを明らかにする。中枢神経インスリン作用による肝臓作用は、転写因子STAT3の活性化を介したものであることを明らかにしている。本年度には、このような転写因子STAT3の活性化が、迷走神経切除およびクッパー細胞除去により消失することを明らかにした。中枢神経作用による肝細胞STAT3活性化は、クッパー細胞由来IL-6に依存するが、一方で、単離クッパー細胞を用いた検討では、アセチルコリン刺激の増強により、リポポリサッカライド刺激によるIL-6分泌が抑制される。中枢神経作用による肝臓作用におけるアセチルコリンの重要性およびアセチルコリンによるクッパー細胞作用について、今後の検討を行う必要が考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本年度には、中枢神経作用における肝脂質代謝調節における迷走神経およびクッパー細胞の役割の検討を中心として、検討を行っている。単離クッパー細胞での検討から、今後の推進に関しても、検討が進められており、当初の予定通り順調に進展している。
今後は、当初の予定に加え、単離クッパー細胞におけるアセチルコリン作用の検討から、中枢神経作用による肝臓作用におけるアセチルコリンの重要性およびアセチルコリンによるクッパー細胞作用について、検討を加え、研究を推進してゆく。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Diabetes
巻: 62 ページ: 2266-77
10.2337/db12-1701.
http://inoue.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html