公募研究
昨年度に作出した肝特異的UBXD8ノックアウトマウス(以下UBXD8-LKO)と対照野生型マウス(以下WT)を通常餌(脂肪含量4.6%)と高脂肪餌(同14.4%)で飼育し、表現型の比較検討を行った。UBXD8-LKOではWTよりも血中トリグリセリド濃度が低く、初代培養細胞を用いた検討でも培地中に分泌されるアポリポプロテインB(以下ApoB)が少なかった。Triton WR-1339を投与してlipoprotein lipaseを阻害した条件で血清中のトリグリセリド濃度を測定したところ、UBXD8-LKOではWTより低く、in vivo肝細胞からのトリグリセリド分泌も阻害されていることが明らかになった。また血中リポタンパク質をHPLCで分画して、超低比重リポタンパク質(VLDL)の脂質組成を詳しく解析した結果、VLDL粒子のコアを形成するトリグリセリドと外周を作るコレステロールの比率(TG/Chol)はWT よりもUBXD8-LKOの方が低いことが分かり、UBXD8が存在しない肝細胞ではApoBへの脂質付加過程に欠陥があることが示唆された。この2年間の研究結果およびそれに先立つ培養細胞での結果を総合して、以下のことが推論された。1)UBXD8は脂質付加後のApoBに何らかの異常がある場合に,ユビキチン化し、プロテアソーム分解を促進する機能を持つ、2)UBXD8がないと1)の機構が働かないため、脂質付加後の異常ApoBは脂質付加の場である脂肪滴と小胞体の界面に集積する、3)その結果、正常なApoBの脂質付加過程も障害され、VLDL分泌が阻害される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS ONE
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