公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
研究代表者らは、マウス肝臓における新規脂肪合成の律速酵素であるGPAT1遺伝子のプロモーター領域が、新規メチル化酵素Dnmt3bによるDNAメチル化により発現制御をうけることを見出し、報告した。新規DNAメチル化酵素にはDnmt3aとDnmt3bが存在するが、両者の基質特異性には不明の点が多い。本研究では、Dnmt3bとDnmt3aを過剰発現したマウス肝臓初代培養細胞を用いてゲノムワイドにDNAメチル化変化を解析した。アデノウイルスを用いてGFP(Ad-G)、Dnmt3b(Ad-3b)あるいはDnmt3a(Ad-3a)をマウス肝臓初代培養細胞に過剰発現し、MIAMI法によりゲノムワイドなDNAメチル化変化を解析した。Ad-3b過剰発現とAd-3a過剰発現ではAd-3bによるDNAメチル化作用の方が強いことがバイサルファイト法により確認された。バイオインフォマティクス解析したところ、Dnmt3b特異的遺伝子ではCANAGCTGの配列が、Dnmt3b とDnmt3aの両者によりメチル化される遺伝子ではCCGGWNCSCの配列が濃縮されていることが明らかになった。肝細胞ではDnmt3bが主要なDNAメチル化酵素であり、肝臓における遺伝子発現制御に関与することが示唆された。一方、胎児期・乳児期の栄養環境は成長後の肥満・生活習慣病の発症に影響すると考えられている。核内受容体リガンドの中には脂質代謝を変化させることが報告されているものがある。本研究では大豆イソフラボンであるダイゼインを妊娠期・授乳期の母マウスに腹腔内投与し、仔マウスの表現型に及ぼす影響を観察した。その結果、ダイゼインにより生後16日齢の仔マウスの体重および脂肪組織重量の減少が認められた。また高脂肪食を与えた場合においても仔マウスの体重増加は抑制された。さらに表現型を解析中である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に基づき、順調に進展している。今後、さらなる解析を進める。
研究計画に大きな変更はない。in vivoとin vitroの実験を組み合わせ、解析を進める。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://nutrition.life.kpu.ac.jp/