研究領域 | 食欲と脂肪蓄積の制御と破綻の分子基盤の解明 |
研究課題/領域番号 |
25126728
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
岡本 士毅 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (40342919)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | TNF-alpha / 白色脂肪組織 / AgRP |
研究概要 |
摂食促進神経ペプチドAgRPをマウス脳室内に投与すると、腹部脂肪組織の一つである副睾丸脂肪組織(epiWAT)の脂肪組織内マクロファージ(ATM)において、TNF-αmRNA産生が選択的に高まることを見出した。中枢からの調節経路として、交感神経に着目し、epiWATでのノルエピネフリン(NE)代謝回転を測定した所、AgRP投与により有意に活性が抑制された。この抑制は交感神経の外科的切除、カテコラミン受容体拮抗薬により消失した。さらに皮下鼠径部脂肪組織(ingWAT)では抑制されず、調節機構に選択性がある事を見出した。そして脂肪組織におけるTNF-αの産生源は、新たに遊走したマクロファージではなく元々脂肪組織に存在するマクロファージであり、交感神経系の恒常的な炎症の抑制機構が存在すると考えている。 更にマクロファージ細胞株RAW264.7を用いて、NE刺激によるcAMPの上昇が、IkBα発現の上昇を促し、NF-kBシグナルを抑制する事で、TNF-αmRNA量を抑制している事も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マクロファージ細胞株を用いて、TNF-αmRNA量を減少させる分子機構を明らかにする事が出来たが、TNF-αモーター領域の抑制を示すまでには至っていない。 さらにNF-κB活性とSIRT1との影響を検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
TNF-αプロモーター領域への、NE、NF-kBおよびSIRT1による活性調節機構をCHIPアッセイ、アセチル化検出法を用いて調べる。TNF-αプロモーター依存性にルシフェラーゼを発現するベクターを高知大学岩崎教授より供与済みである。 またβ-lessマウス及び食餌性肥満マウスにおいて TNF-αの発現が増加する機構をin vivo、in vitroの両方で検討する。 TNF-α、β受容体の発現、NEに対する反応性を調べることにより、脂肪組織内の細胞ネットワークに及ぼす交感神経の調節機構とその異常を明らかにしたい。
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