公募研究
肥満の進展においては、個々の脂肪細胞の肥大化とともに、その数が増加する。脂肪細胞の数は、前駆脂肪細胞の増殖と複数の転写因子の活性化カスケードによる分化との統合により調節される。転写調節分子CITED2は種々の転写調節分子と相互作用し、個体発生、細胞分化、代謝を制御する。CITED2は脂肪細胞の分化調節因子であるPPARγ, CBP/p300と相互作用するが、脂肪細胞分化における役割は不明である。本研究は、CITED2の脂肪細胞分化における役割を明らかにすることを目的として行った。脂肪細胞分化におけるCITED2のノックダウンの影響を3T3-L1細胞を用いて、またCITED2と各種分子との相互作用は共沈実験により検討した。個体における検討は、高脂肪食負荷CITED2ヘテロ欠損マウスを用いて行った。CITED2のノックダウンにより、脂肪細胞分化のmaster regulatorであるPPARγの発現が抑制され、3T3-L1細胞の脂肪分化が障害された。PPARγの発現障害はmitotic clonal expansion (MCE)と呼ばれる分化誘導初期の一過性の細胞増殖の障害に起因していた。MCEは細胞周期回転を抑制する癌抑制遺伝子産物 RbがCDK-Cyclin複合体により不活性化されることにより起こるが、CITED2KDではこれが障害されていた。共沈実験から、CITED2はCyclin-CDK複合体によるRbの不活化を促進することが示唆された。また高脂肪食負荷CITED2ヘテロ欠損マウスは、前駆脂肪細胞の増殖抑制による肥満抵抗性を示した。以上の結果より、CITED2は前駆脂肪細胞の増殖・終末分化に必須の分子であることが示唆された。CITED2の機能阻害により肥満が軽減することから、CITED2は肥満症創薬の標的分子と考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hepatology
巻: 61 ページ: 1343-1356
10.1002/hep.27619.
Diabetes
巻: in press ページ: in press
db141506