研究領域 | ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック |
研究課題/領域番号 |
25127705
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷本 昌志 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30608716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有毛細胞 / 平面内細胞極性 / ゼブラフィッシュ / 耳石器官 |
研究概要 |
聴覚・平衡感覚受容を担う内耳有毛細胞は感覚上皮の平面方向に特有の平面内細胞極性パターンを形成する。細胞集団が感覚上皮器官を形成する組織化・秩序化の原理を調べるために、本研究ではゼブラフィッシュ内耳の耳石器官(卵形嚢および球形嚢)の有毛細胞集団が形成する感覚毛の極性パターンに注目し、その形成過程を解析した。有毛細胞の不動毛を構成するアクチンフィラメントを免疫染色により可視化し、ゼブラフィッシュ胚の各発達時期における内耳の耳石器官の感覚毛の配列を単一細胞レベルで解析し、個々の細胞の時空間的な極性ベクトルデータを抽出した。受精後1日胚ではいずれの耳石器官でも有毛細胞の感覚毛の配列は一方向にのみ向いていたのに対し、球形嚢では受精後2日には相互外向きの感覚毛の配列パターンが形成されており、卵形嚢では受精後3日には相互内向きの感覚毛の配列パターンが形成されていることを見出した。各器官に特有の配列パターンがどのような過程で形成されるのかを詳細に明らかにするためには経時観察が必要であるため、ゼブラフィッシュ生体を数時間にわたって観察するためのアガロース包埋標本作成法と、有毛細胞を観察する際に邪魔になる耳石を微小ガラスプローブを使って有毛細胞上から除去する操作法を確立した。また、不動毛を可視化するための遺伝子組換え系統および平面内細胞極性の形成に必要とされるタンパク質群に対する抗体の候補を選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゼブラフィッシュ胚において内耳は体表面から数十マイクロメートルの深さに位置しており、透明度の高いゼブラフィッシュ胚を用いても観察には試行錯誤が必要であり実験の進行に多少の遅れが生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得た知見、確立した実験手法、準備した遺伝子組換え系統や抗体を用いて効率的に研究を進める。
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