本研究では、細胞間相互作用に代表される細胞集団のコミュニケーションによる秩序形成ロジックの解明に向けた新規のアッセイツールとして、細胞集団の任意の微小領域の細胞のみに局所的な液性刺激操作が可能なマイクロ流体プローブ機能を集積化し、細胞間相互作用に伴う振る舞いを観察可能な細胞アッセイシステムの構築を目的とした。前年度までにマイクロ流体プローブ集積型デバイスを構築し、細胞集団に対して単一細胞スケールでの液性刺激が実現可能なことを有限要素法による流体シミュレーションや蛍光色素を用いた流体操作実験により実証した。平成26年度は、主に細胞を用いた本デバイスの応用検討を実施した。具体的には、流路内の任意の部位の細胞を回収し生化学的な解析を実施するために、本デバイスの技術を活用して、トリプシン溶液の濃度を部位局所的に制御することで任意の部位の細胞のみをマイクロ流路内から回収することに成功した。また、細胞間相互作用の可視化に向けて、細胞内カルシウム濃度変化をFRET(Fluorescence Reasonance Energy Transfer)で観察可能な細胞株を樹立し、デバイス内への導入が完了した。この実験系を用いて、細胞間のカルシウム濃度変化の観察実験にも着手することができた。
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