公募研究
ウニにみられる幼生骨片進化を対象に、複合適応形質進化過程で、適応度の谷をどのように克服してきたかという問題にアプローチしてきた。これまでに、Alx1をヒトデのオーリクラリア型幼生で強制発現させたとき、表現型にはほとんど影響がないが、骨形成のエフェクター遺伝子のいくつかの発現が活性化されるという、遺伝子ネットワークの頑健性と柔軟性という両側面を明らかにした。この点を、遺伝子ネットワークの視点からとらえ直すことを目的に、動力学モデルを用いた遺伝子発現データからの遺伝子ネットワークモデルの推定を、ウニの内中胚葉遺伝子ネットワークを対象に行った。そこでは、実際のネットワークが、遺伝子発現のゆらぎ(ノイズ)と結合の揺らぎ(シスエレメントの出現、消失)に対する頑健性に対するトレードオフの中で、最適なパラメーターとなっていることがわかってきた。また、遺伝子ネットワークの柔軟性をさらに検証すべく、ヨツアナカシパンというウニを用いて、地域集団間で発現に違いが見られる遺伝子をスクリーニングした。その解析の中で、千葉県館山と広島県向島の集団で比較したところ、216の遺伝子が異なる発現をしていることがわかった。このうちいくつかはは、ゲノムのノンコーディング領域からde novoに生じる遺伝子の特徴と一致していることから、de novo遺伝子を数多く検出していると考えている。また、もう1つの課題として、脊椎動物の咽頭弓における神経管と内胚葉性咽頭嚢の協調的な分節が成立している機構について解析した。咽頭嚢特異的に発現する pax1をノックダウンしたメダカは咽頭嚢の分節が正常に起こらなかった。そこで、ゲノム編集によるpax1 nullの個体で中胚葉の分節について再度調査し、上記の結論の検証を行ったところ、Pax1の内胚葉での分節が、一時的な分節情報を生み出しているという仮説を支持する証拠が得られた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Comparative Neurology
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