研究領域 | 複合適応形質進化の遺伝子基盤解明 |
研究課題/領域番号 |
25128707
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽田 貞滋 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00192625)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 適応的形態分化 / 全ゲノム塩基配列 / マイマイカブリ / 原因遺伝子 / QTLマッピング / 連鎖地図 |
研究概要 |
本研究では,マイマイカブリの全ゲノム解読をひとつの目的としている.今年度は,昨年度までのHiSeq2000による180bp, 500bpインサートのペアエンドシーケンスデータに加え,2~11bpインサートのHiSeq2000メイトペアシーケンスデータを追加した.これらのデータを,プログラムPlatanusを用いてアセンブルした結果,contigのN50が32kb,scaffoldのN50が3Mbとなった.また,k-mer解析で推定されたゲノムサイズは180Mb程度となった.アセンブルされたゲノム配列について,AUGUSTUSによる遺伝子予測を行ったところ,7845の遺伝子が推定された.本研究の2つめの目的として,狭頭型亜種と巨頭型亜種の形態分化をもたらす遺伝子の探索がある.形態分化の原因遺伝子のゲノム上の位置をQTL解析により推定するために,亜種間の戻し交雑集団について,RAD(制限サイト関連DNA)シーケンスに基づく連鎖地図作成を行った.昨年度に得られたシーケンスデータのカバレッジ不足を補うために,データの追加を行った結果,1422遺伝子座による1739cMの精密な連鎖地図が作成された.連鎖群の数は,染色体数n=14に一致した.この連鎖地図を用いて,QTL解析を進めている.また,マイマイカブリのトランスクリプトームのRNAシーケンスデータを得るため,本年度は,卵,幼虫,蛹,成虫の全ステージからmRNAのライブラリーを作成した.さらに,狭頭型亜種と巨頭型亜種の遺伝子発現比較を行うため,2亜種の前蛹,蛹期のmRNAのライブラリーを作成した.次年度においてこれらのシーケンスとデータ解析を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノム配列のアセンブルが,scaffoldのN50で3Mbに達し,これまでのゲノム解読例に比べてもかなり長くなったことで,完成に近づいている.また,RADシーケンスによる連鎖地図作成もかなり精密になっており,この連鎖地図に基づけば,QTLの絞り込みができる.また,全ゲノムのアセンブル結果の検証にも使うことができる.このような結果が得られていることから,おおむね順調に進展していると自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム解読に関しては,取得しているPacBio RSによる長シーケンスデータ,フォスミドライブラリーによる20kbインサートのメイトペアシーケンスデータを活用し,アセンブルの改善とgap closingを行う.QTLマッピングを行い,ゲノム配列の情報を参照して,原因領域内にある遺伝子をリストアップする.mRNAシーケンスのアセンブルと亜種間の遺伝子発現比較の結果から,亜種間形態分化に関与する遺伝子を特定する.QTLと亜種間で発現差のある遺伝子の情報を統合し,亜種間の形態差を産み出す遺伝子を明らかにする.最終年度にあたり,論文作成に着手する.
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