研究領域 | 複合適応形質進化の遺伝子基盤解明 |
研究課題/領域番号 |
25128709
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮澤 清太 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (10377905)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 模様パターン |
研究概要 |
動物の体表に見られる多彩な模様パターンは、同種識別、交配選択、擬態・隠蔽等、適応的にも大きな意義をもつと考えられる形質である。個々の模様パターンは多数の因子が相互作用する複雑なシステムによって形成されると考えられるが、進化的・適応的に重要なパターンの違いをもたらす因子や分子ネットワーク、その進化プロセスについては未解明の部分が多く、特に脊椎動物に見られるような複雑、かつ個体ごとに配置が柔軟に変化する模様パターン(=「やわらか模様」)に関してはほとんど明らかになっていない。本研究課題では、模様パターンのバリエーションがどのように創発するか、その分子メカニズムと進化プロセスを明らかにすることを目的として、比較ゲノム解析と数理モデル解析の両面からアプローチを行っている。本年度は、模様パターンが劇的に異なるトラフグ属近縁種を対象として、生体サンプルの収集、色素細胞分布様式の観察、ゲノムライブラリの作製とシーケンス、de novoアセンブリを行った。これらの成果をもとに、次年度以降、模様パターンのバリエーションをもたらす要因について明らかにするべく、比較ゲノム解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
稀少種を含むトラフグ属魚種の生体サンプル収集については当初計画を大幅に上回る成果を上げることができた。トラフグ属魚種色素細胞を用いた解析については、フグ皮膚組織からの色素細胞の単離条件が想定よりも厳しかったこともありやや難航している。一方で、模様パターンの異なる近縁種間の比較ゲノム解析については、ドラフトゲノム配列の決定等、当初計画以上に進んでおり、総じて概ね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きフグ皮膚組織からの色素細胞単離条件の検討を進める。単離色素細胞を用いてin vitro経時観察による細胞間相互作用の解析を行う他、RNA-seqにより模様パターンの違いに関わる因子の探索を試みる。模様パターンの異なる種間で交雑系統の作出を試み、模様パターン関連因子のQTL解析を目指す。また、近縁種間で異なる模様をもつ他の動物群にも対象を拡げ、とくに迷宮模様・斑点模様をもつフグ目以外の魚種グループに着目してトラフグ属魚種と同様の細胞動態観察、RNA-seq等による比較解析を行う。模様パターンの違いを生み出す遺伝基盤について異なる分類群間で比較検討を行うことで、分子メカニズムや進化プロセスの解明を目指す。
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