研究領域 | 複合適応形質進化の遺伝子基盤解明 |
研究課題/領域番号 |
25128711
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新田 梢 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (60589448)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 送粉 / 花形質 / 開花時間 / 花色 / キスゲ属 / 雑種 / RNA-seq / 進化 |
研究概要 |
これまで、親種であるハマカンゾウとキスゲから、HiSeq2000(Illumina)を用いたRNA-seq解析を行った。Blast nrによるアノテ―ションによって、花色・花香の生合成に関する候補遺伝子を得た。ハマカンゾウにおいて、アントシアニン色素合成経路に関する遺伝子の発現が高く、特に、R2R3MYB familyであるAnthocyanin 2遺伝子を得た。 さらに、カロテノイド色素合成経路や花香の合成経路の遺伝子についても、キスゲの組成に関連すると予想される興味深い遺伝子が挙がった。ただし、これまでの解析では、2種間で発現量に差のある遺伝子は多く存在し、花形質の違いに関与する遺伝子の特定は難しい状況であった。そこで、花色や花香の花形質が分離したF2雑種集団を用いて、花形質の表現型と発現量のパターンを解析し、2種の花形質の違いに関与する遺伝子を特定することを計画した。 今年度は、F2雑種集団のtotal RNAサンプルを抽出し、IlluminaのTruSeq Stranded mRNA LT Sample Prep Kitを用いてライブラリ調整を行い、HiSeq2500(Illumina)によるRunを行った。 開花時間の解析については、光条件が2種の開花時間に与える影響を調べた。野外と同じ明暗周期条件下では、開花時刻が毎日一定になった。一方、恒明と恒暗条件下では、時刻は一定ではなかった。よって、開花時刻には光が同調因子となっていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、花組織のサンプル採集とtotal RNA抽出、ライブラリ作成まで行った。ただし、read解析までは到達しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度にはreadデータの解析を行う。得られたF2雑種由来のreadを、これまでに作成したハマカンゾウとキスゲのライブラリに対してマッピングし、発現解析を行う。ハマカンゾウとキスゲで発現に差があった遺伝子群について、F2雑種における発現パターンと表現型との関連を調べ、花形質の違いに関する遺伝子を特定する。そして、送粉者の選好性に影響を及ぼす複合適応形質の進化過程を明らかにできると期待される。
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