研究概要 |
本研究課題では、ゲノムの完全解読法の開発をとおして、ゲノム構造の変異を検出できる系を開発し、実用化することを目指す。方法としては以下の通りである。1.トランスポゾンとインテグラーゼを用いてマイクロアレイ基盤で作製した4 x 1012種のバーコード配列ペアを【割り符】としてゲノムDNAにランダムに挿入する。2.その後バーコードペアの内側を切断する。3.その結果、切断箇所を挟んで同一のバーコードが存在することになり、バーコードをたどることによって、となり同士であったフラグメントが分かるしくみである。これによってゲノム断片の再整列ができ、ゲノム全体の構造を解析することができる。この系はExome解析を補完する解析法と考えている。 今年度はトランスポゼースの選定と大腸菌による発現、精製を試みた。トランスポゼースとしてはゲノムに非特異的にトランスポゾンを挿入できるcut and pasete型挿入タイプのものTn7A, B, C三量体、Tn5, Tc1, Tn10を選択した。それぞれに対してHisタグおよびtag乖離反応が容易なintein tagによる精製用ベクターにトランスポゼースをクローニングし、複数の宿主大腸菌によって発現誘導を行った。いくつかの組み合わせで適切な分子量のタンパク質発現が検出できたため、それらについて発現タンパク質の精製を行った。特にTn10にintein tagを付加した場合に高いタンパク質発現が得られ、chitinカラムによる吸着とDTTによる還元状態下でのintein tagの分離と発現タンパク質の溶出を行った。その結果、SDS-PAGEにより目的の分子量のタンパク質が確認され、あわせてCBB染色レベルでは夾雑タンパク質がないことを確認した。
|