今後の研究の推進方策 |
今後は、候補lincRNAの白血病幹細胞の特性維持における機能を, ノックダウンと強制発現解析により検証するとともに, lincRNAによる白血病幹細胞における遺伝子発現制御機構の検証を通して明らかにしていきたい. 具体的には以下の解析を予定している. 1. 白血病幹細胞特異的lincRNA機能の検証: MLL-AF9によって直接転写が活性化されるlincRNAの中で白血病幹細胞特異的な発現パターンを持つと判断されたlincRNAについて, その白血病原性における機能をノックダウンの系を用いて評価する. MLL-AF9で形質転換したヒトCD34陽性造血前駆細胞を用い, in vitroのreplating assayとともに免疫不全マウスへの移植によるin vivoでの白血病発症活性を検証する. また, 同様の系を用いて強制発現の効果を評価する. 2. lincRNAによる白血病幹細胞特異的遺伝子発現制御機能の検証: 重要性が確認されたlincRNAを, 白血病幹細胞でノックダウンした際の遺伝子発現プロファイルの変化を, マイクロアレイで解析し, それぞれのlincRNAが白血病幹細胞の維持において, どのようなセットの遺伝子群の発現制御を行っているのか, またどのようなクロマチン制御分子の機能を制御するのかについて明らかにする. 3. lincRNAが制御するクロマチン制御分子の同定: 重要性の示されたlincRNAをベイトとして, MLL-AF9で形質転換したヒトCD34+造血前駆細胞における会合分子を精製し, 質量分析によって同定する. この解析により, 白血病幹細胞成立の過程において, MLL-AF9癌遺伝子がlincRNAの発現誘導を介してどのような転写機構を駆動し標的遺伝子の発現を調節するのかを理解する.
|