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2013 年度 実績報告書

ストレス応答を介したがん幹細胞ニッチシグナルの解明

公募研究

研究領域癌幹細胞を標的とする腫瘍根絶技術の新構築
研究課題/領域番号 25130705
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関金沢大学

研究代表者

平尾 敦  金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90343350)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードがん幹細胞
研究概要

本研究では、がんの未分化形質を制御する微小環境シグナルを特定することを目標として、白血病や脳腫瘍細胞に焦点を当てて研究を進めた。まず、脳腫瘍において、高頻度に活性化がみられるmTORシグナルの役割について検討した。Tsc1欠損マウスを用い、mTOR複合体1(mTORC1)の活性化状態と神経幹細胞自己複製との関連を検討した。Subventricular zoneの神経幹・前駆細胞を採取し培養を行ったところ、初代スフィア形成では、Tsc1欠損による影響は認められなかったが、2次スフィア形成、3次スフィア形成においては、有意に細胞増殖能の低下が認められた。このことから、mTORC1の過剰な活性化は正常神経幹細胞の自己複製を低下させることが判明した。次に、活性型EGFRの強制発現とp16/p19欠損の組み合わせにおいて発生する脳腫瘍において、Tsc1を欠損させ、mTORC1の更なる活性化を誘導し、その影響を検討した。その結果、mTORC1の過剰活性化は、腫瘍の増大を誘導することを見いだした。これらの腫瘍組織ではVEGFの産生亢進と血管新生の増強が認められた。さらに、がん細胞におけるmTORC1活性化による遺伝子発現変動を観察したところ、炎症性サイトカインシグナルの亢進が認められた。このことから、腫瘍におけるmTORC1の活性が、がんの微小環境に影響を及ぼし、その悪性化を亢進させていることが推察され、今後、がんの幹細胞特性についても検討を行う必要があると考えられた。同時に、リンパ性白血病モデルにおいても、mTOR活性化により、病態増悪が認められたが、その場合も微小環境への影響が示唆された。以上のように、がんモデルを駆使することにより、がんの幹細胞特性を制御する微小環境因子の解析において重要な知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り研究を遂行し、重要な知見を見出すことができたため。

今後の研究の推進方策

来年度は、引き続き白血病および脳腫瘍の幹細胞特性の検討を行い、治療標的の特定を進めたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Loss of mTORC1 induces developmental blockage in early T-lymphopoiesis and eradicates T-cell acute lymphoblastic leukemia cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Hoshii T, Kasada A, Hatakeyama T, Ohtani M, Tadokoro Y, Naka K, Ikenoue T, Ikawa T, Kawamoto H, Fehling HJ, Araki K, Yamamura K, Matsuda S, Hirao A.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 111 ページ: 3805-10

    • DOI

      10.1073/pnas.1320265111.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss of Tsc1 accelerates malignant gliomagenesis when combined with oncogenic signals.2014

    • 著者名/発表者名
      Yamada D, Hoshii T, Tanaka S, Hegazy AM, Kobayashi M, Tadokoro Y, Ohta K, Ueno M, Ali MAE, Hirao A.
    • 雑誌名

      J Biochem.

      巻: 155 ページ: 227-33

    • DOI

      10.1093/jb/mvt112.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MIP-1α/CCL3-mediated maintenance of leukemia-initiating cells in the initiation process of chronic myeloid leukemia.2013

    • 著者名/発表者名
      Baba T, Naka K, Morishita S, Komatsu N, Hirao A, Mukaida N.
    • 雑誌名

      J Exp Med.

      巻: 2210 ページ: 2661-73

    • DOI

      10.1084/jem.20130112

    • 査読あり
  • [学会発表] The nutrient sensing signaling pathways in the hematopoietic stem cells and leukemia.2013

    • 著者名/発表者名
      Hirao A
    • 学会等名
      The 23th Hot Spring Harbor International Symposium
    • 発表場所
      Kyushu University(Fukuoka)
    • 年月日
      20131105-20131105
    • 招待講演
  • [学会発表] 栄養センサーシグナルと幹細胞制御2013

    • 著者名/発表者名
      平尾敦
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      20130911-20130913
    • 招待講演
  • [学会発表] The nutrient sensing signaling pathways in the hematopoietic stem cells and leukemia.2013

    • 著者名/発表者名
      Hirao A
    • 学会等名
      SUCRI-KUCRI Joint Symposium
    • 発表場所
      Seoul National University (Korea)
    • 年月日
      20130710-20130710
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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