• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

不完全なDNAメチル化に伴うクロマチンタンパク質のユビキチン化とその役割

公募研究

研究領域ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構
研究課題/領域番号 25131717
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関名古屋市立大学

研究代表者

西山 敦哉  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50378840)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードDNAメチル化 / Usp7 / Uhrf1 / ヒストンH3 / ユビキチン化 / 脱ユビキチン化 / DNA複製
研究概要

DNAのメチル化は転写の抑制的制御を介して、細胞の正常な発生・分化に不可欠な役割を果たしている。また、がん細胞では異常なDNAメチル化パターンが高頻度で観察されることも報告されており、DNAメチル化パターンを正確に維持する分子機構の解明は、重要な課題といえる。申請者は、DNAメチル化維持の分子機構を明らかにするために、試験管内DNA複製系であるアフリカツメガエル卵抽出液由来の無細胞系を用いて解析を行い、ヒストンH3のユビキチン化がDNAメチル化酵素のメチル化部位へのリクルートに必要であるという知見を得た (Nature, 2013)。本研究においては、ヒストンH3をDNAメチル化完了後に脱ユビキチン化する分子機構の解明を試みた。
まず、Dnmt1の結合タンパク質を質量分析で解析し、脱ユビキチン化酵素であるUsp7を同定した。Usp7はDNA複製依存的に一過的にクロマチンに結合し、その結合にはUhrf1及びDnmt1を必要とする。これはUsp7がDNAメチル化部位で特異的に機能していることを示唆している。次に卵抽出液あるいは哺乳細胞から、それぞれ免疫除去及びshRNAによるノックダウンによりUsp7を除去し、その影響を調べた。その結果、Usp7の除去に伴い、ヒストンH3のユビキチン化が亢進し、Dnmt1が過剰にメチル化部位に供給されることが明らかになった。また、Usp7はin vitroでヒストンH3を脱ユビキチン化する活性を持つことが示された。
以上の結果は、Usp7はDnmt1と結合してDNAメチル化部位へリクルートされ、ヒストンH3を脱ユビキチン化することで、DNAメチル化完了後のDnmt1のクロマチンからの解離を制御するという可能性を強く示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

H25年度の研究により、当初の目的であるヒストンH3の脱ユビキチン化酵素Usp7の同定に成功するだけでなく、さUsp7のDNA複製に伴うクロマチン結合に関する詳細な分子機構、またその役割についても明らかにすることができた。これまで、Usp7はDnmt1やUhrf1を脱ユビキチン化する活性があることが報告されていたが、今回得られた結果は、新たな分子機構を提案するに十分なものと考えられる。

今後の研究の推進方策

予備的な解析により、Usp7の発現抑制により、Dnmt1発現抑制に伴うヒストンH3のユビキチン化に加えて、細胞死が促進されるという結果を得ている。この結果から、Dnmt1除去に伴う細胞死がH3ユビキチン化を介して誘導されるという仮説を立てている。今後は、上記の仮説の検証に加えて、Dnmt1除去時の細胞死のメカニズムの詳細な解析を行う。一方で、Uhrf1によるPCNAのユビキチン化(未発表)については、未だその分子機構、役割などが明らかとされていない。従来の研究により明らかにされたPCNAユビキチン化に関わるとされる因子、例えばRad18、損傷乗り越えポリメラーゼなどに注目して、解析を進めたいと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Uhrf1-dependent H3K23 ubiquitylation couples maintenance DNA methylation and replication2013

    • 著者名/発表者名
      Atsuya Nishiyama, Luna Yamaguchi, Jafar Sharif, Yoshikazu Johmura, Takeshi Kawamura, Keiko Nakanishi, Shintaro Shimamura, Kyohei Arita, Tatsuhiko Kodama, Fuyuki Ishikawa, Haruhiko Koseki, Makoto Nakanishi
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 502 (7470) ページ: 249-253

    • DOI

      10.1038/nature12488

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of DNA methylation-coupled histone H3 ubiquitylation2014

    • 著者名/発表者名
      Atsuya Nishiyama, Luna Yamaguchi, Makoto Nakanishi
    • 学会等名
      Replication, repair and transcription; coupling mechanisms and chromatin dynamics for genome integrity
    • 発表場所
      京都大学時計台記念館(京都府)
    • 年月日
      20140204-20140205
  • [学会発表] Uhrf1依存的なヒストンH3のユビキチン化を介したDNA維持メチル化制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      西山敦哉、山口留奈、Jafar Sharif, 城村由和、川村猛、中西圭子、島村真太郎、有田恭平、児玉龍彦、石川冬木、古関明彦、中西真
    • 学会等名
      第36回分子生物学会年会ワークショップ「タンパク質翻訳後修飾を介した超分子複合体形成とゲノム機能制御」
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      20131203-20131206
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒストンH3のユビキチン化とDNA維持メチル化制御2013

    • 著者名/発表者名
      西山敦哉
    • 学会等名
      平成25年度遺伝研研究会「クロマチンによる遺伝情報のエピジェネティック制御機構」
    • 発表場所
      国立遺伝学研究所(静岡県)
    • 年月日
      20131017-20131018
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi