公募研究
ヒトなどの哺乳類では、2つの性の間でXX (雌)とXY (雄)というようにX染色体の数が異なっています。このままではX染色体状の遺伝子量が性によってことなるため、雌では2本あるX染色体のうち1本をほぼ全域に渡って不活性化するという遺伝子量補償機構が存在します。不活性化されたX染色体は、バー小体と呼ばれる凝縮した染色体構造 (ヘテロクロマチン) として核内に存在します。私たちはこの凝縮構造を作るのに必要なHBiX1-SMCHD1複合体を発見しました。またヒトでは、SMCHD1はある種の筋ジストロフィーの原因遺伝子としても知られていることから、ゲノム全体でHBiX1-SMCHD1がどのように機能しているかを明らかにすることが必要です。本年度は、このHBiX1-SMCHD1複合体がX染色体以外のどこで、どのように機能しているかを明らかにするため、父方・母方由来と二本の相同染色体を区別することができるマウス細胞の系で、目的のタンパク質のゲノム上での結合位置を明らかにできるChIP-seq解析を行いました。その結果、X染色体に限らず二本ある相同染色体のうち一方にだけHBiX1-SMCHD1やヒストン修飾が局在している領域があることがわかり、HBiX1-SMCHD1がシスに機能できることがわかりました。この結果を、それぞれの遺伝子の発現状態を調べるRNA-seq法の結果や、またヒトにおける結果と比較することで、HBiX1-SMCHD1の機能するゲノム領域をより明らかにできると考えられます。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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