公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
1 我々はこれまでに、卵巣除去およびアンドロゲン投与によって、メスのメダカの前脳における、メス特異的なエストロゲン受容体(ERb2)、アンドロゲン受容体(ARb)、神経ペプチド(NPB)の発現が消失する(オス型に変化する)ことを見出している。本年度はまず、精巣除去およびエストロゲン投与によって、逆に成熟オスの同領域でそれらの遺伝子の発現を誘導できることを明らかにした。それにより、メダカの前脳におけるERb2/ARb/NPB発現の性差(有無)には両方向性の可逆性が存在することが証明された。2 我々はこれまでに、メダカの前脳には、神経内分泌細胞様の形態を示す巨大ニューロンがメス特異的に存在することも見出しているが、本年度の研究によって、このメス特異的な巨大ニューロンこそが、ERb2/ARb/NPB発現ニューロンであることを明らかとした。3 NPBの機能を明らかにすることを目的として、TALEN法を用いて、NPBおよびNPB受容体をノックアウトしたメダカの作出を試みた。その結果、NPBノックアウトメダカの作出を終え、NPB受容体のノックアウトメダカについても、作出完了の見通しが立った。4 メスの卵巣を除去し、前脳におけるERb2/ARb/NPB発現を消失させた(オス型に変化させた)際に、それらの発現ニューロンの活性化度合い、電気生理的特性の変化を解析した。その結果、卵巣除去によって、遺伝子発現だけでなく、ニューロンの活性も低下し、発火頻度もイレギュラーになることことを示唆するデータを得ることができた。5 ERb2/ARb/NPBニューロンでメス特異的に発現する新たな遺伝子を発見した。また、メダカの脳において発現に性差を示す新規の性染色体遺伝子を発見した。
1: 当初の計画以上に進展している
上記の項目4は本来、来年度に予定していた実験であるが、前倒しで成果を得ることができた。また、項目5は当初は予定していなかった成果である。
研究が順調に進んでいるので、このまま推進していく。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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