公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を得ている。(A) 一卵性双生児不一致症例の詳細な全ゲノムシーケンス解析1) 既に遺伝研究に同意を得ている1組の一卵性双生児不一致例で1 名の患者、1 名の健常者の末梢血から採取したDNA を用いてゲノムDNA の調整を行なう。その際には5500 SOLiD メイトペアライブラリコンストラクションキットを利用する。2) 濃縮DNA をSOLiD550xl0 により大規模並列シーケンスを行った。しかしここで一つの問題が生じた。どのように感度(次世代型シーケンサーでデプス)を調整しても凡そエキソンの90%しか有用なデータが取れずに信用性のある結果にまだ到達していないのが実情である。じよって、方法論を見直し、SOLiD550xl0 のシステムからイルミナ社のHiSeq2500へ変更し再度の解析を行っていることころである。また、双生児のゲノム解析は基本的に99%以上の同一の構造を持つため極めて高い解像度が要求される。現在、原因遺伝子の判明していないGIDの解析のパイロットスタディとして比較的表現型を同定しやすい精神疾患であるパニック障害や統合失調症の家系において私達の実験系が良好に稼働することを確認している。一方で、GIDの心理特性を詳細に検討し、亜型の存在を明らかにすべく当院で治療を行った178人の年齢、MtF, FtMの心理的因子の構造、家族背景、等を解析した。
3: やや遅れている
遺伝解析そのものは方法論の確立に予想以上の時間を要している。一方で、対象者の心理的な解析、社会学的な解析はある程度達成し、2014年3月21日~22日のGID学会第16回研究大会で報告した。
平成26 年度以降実験系を変更したので、まずは比較的臨床症状すなわち表現型の確率している疾患のエキソーム解析を行い実験系の稼働することを確認するのが第一の目標である。次にGIDの患者に共通に見つかる変異を検索し原因変異候補を探索する。複数に共通する変異遺伝子が見つけられたら、解析対象弧発例を増やしてその候補遺伝子について変異解析を行う。典型的孤発例の収集に際して、症例数が集まらない時には長崎県内の関連病院に協力を依頼することによって5例の収集は妥当であると考える。2) 見つけられた遺伝子について、培養神経細胞(cell line で代用)を使って細胞生物学的な機能解析を行いつつ、細胞特性の矯正(治療薬)法の探索を開始する。遺伝子の探索に依存するので、可能か否かは研究の進展状況による。GID の症例は長崎大学病院の精神神経科で実施されているGID 専門外来でリクルートを行う。同外来の責任医師である、長崎大学保健学科・中根秀之の協力を得て現在通院中の典型的GID の当事者約20 名に、本研究への参加の意思を確認する。その際には小澤寛樹も症例収集に参加する。既にひと組の、一卵性不一致症例を確認しており、研究への同意を取得している。中根は週1 日の当科外来を担当しており、申請者と同じ学内のスタッフでもあり連絡、相談はいつでも可能である。小澤は精神科診療科長であり、当然、いつでも相談が可能である。ゲノム及びエピゲノム解析は今村明とともに長崎大学大学院医歯薬・人類遺伝学の実験室で同・吉浦孝一郎と実施する。双生児のゲノム解析の詳細が検討にあたっては岡崎祐士と連携する。遺伝子解析の結果から性差構築に関わる知見はないか、性同一性とはいかなる生物学的基盤を持つか検討し、医療、教育を含めた様々な分野に情報を発信する。
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精神科
巻: 24(4) ページ: 468-492
神経内科
巻: 79(6) ページ: 719-725