公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
性差構築の分子レベルの理解には、雌雄生殖腺での転写因子群の発現カスケードの理解が不可欠である。申請者はこれまでにマウスのほぼすべての転写因子・転写コファクターの生殖腺分化初期での発現をWhole-mount in situ hybridisation法により解析し、雌雄で発現に差のある遺伝子を多数同定している。これらを基に転写ネットワークを明らかにし、雌雄生殖腺形成の転写ネットワークの概要を描くことを目標としている。今年度は雌で発現の高い20の転写因子について、お互いの発現調節、それぞれの発現調節解析を行った。これらの遺伝子について、発現ベクター作製(18について作製済み)とゲノム上の転写開始点上流7.5 kbをルシフェラーゼのプロモーターとして組み込んだベクターを作製した(18について作製済み)。ルシフェラーゼに組み込んだベクターの中で6つは、それぞれの発現調節を解析するために883の転写因子候補発現ベクターからなるハイスループットルシフェラーゼアッセイを行った。また、雌で発現の高い20の転写因子のノックアウトマウスの生殖腺での表現型を観察するためにノックアウトマウス(KO)の作製を計画している。そのために今年度はゲノム編集技術によりTALEN、CRISPR/Cas9を用いて迅速にKOマウスを作製する系を改良した。雌で発現の高い20の転写因子の内すでに2つについてKOマウスの作製を開始している。来年度順次すべてについてノックアウトマウスの作製と表現型の観察を行う予定である。さらに、生殖腺内の各細胞種での転写ネットワーク解明のため、モデルとなる培養系が必要である。そのため、今年度は胎仔期支持細胞でネオマイシンを発現するトランスジェニックマウスを作製した。ホルモン産生細胞については来年度作製予定である。
2: おおむね順調に進展している
発現ベクターの構築、ルシフェラーゼベクターの構築、ノックアウトマウス、トランスジェニックマウスの作製、いずれも順調である。
来年度は雌で発現の高い20の転写因子について、残りの4つの発現ベクターとルシフェラーゼベクターを作製し、お互いの発現調節、それぞれの発現調節解析を行う。ノックアウトマウスについてはCRISPR/Cas9により順次作製し、興味深い表現型を示した遺伝子についてはTALENによるノックアウトマウスの作製により表現型を確定する。生殖腺内の各細胞種の培養系を作製するためにホルモン産生細胞特異的にネオマイシンを発現するトランスジェニックマウスの作製を行う。
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Scientific reports
巻: 3 ページ: 3136
10.1038/srep03136
PLoS One
巻: 8 ページ: e76004
10.1371/journal.pone.0076004