研究実績の概要 |
性差構築を分子レベルで解明するための基盤として、胎仔期雌雄生殖腺での転写因子群の発現カスケードを明らかにすることを目的とする。申請者がWhole-mount in situ hybridisation法を用いた転写因子・転写コファクター約1,600種類からのスクリーニングにより同定した生殖腺分化初期で雌雄で発現に差のある分子に着目し解明していく。これまでに雌で高発現することを同定した18遺伝子についての解析を行った。18遺伝子について昨年度作製したゲノム上の転写開始点上流7.5 kbをルシフェラーゼのプロモーターとして組み込んだベクターを用い、それぞれの発現調節を解析するために883の転写因子候補発現ベクターからなるハイスループットルシフェラーゼアッセイを行った(うち6遺伝子については昨年度に実行した)。データはそろったが、18遺伝子の発現細胞の同定を終えることができなかったため、各細胞種でのカスケードの同定までは達成できなかった。今後18遺伝子の発現細胞を同定することにより、カスケードの同定を行う。また、18遺伝子のうち、6遺伝子(Hoxd12、Rhox2a、Lin28、Sall4、Rhox6、Irx5)についてはKOマウスをゲノム編集により作製を試みた。Lin28、Sall4を除く4遺伝子についてKOマウスの作出に成功した。妊孕性は野生型と変わらないことから、生殖腺の形成や機能に大きく影響することはなかった。今後、胎仔期や生後に表現型が現れるかを検討することにより、各遺伝子のin vivoでの機能を検討する必要がある。
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