研究領域 | システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発 |
研究課題/領域番号 |
25134709
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三木 義男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 乳がん / 分子サブタイプ / 抗がん剤感受性 / 感受性規定因子 |
研究概要 |
我々は、パクリタキセルを術前に単剤投与した患者の治療前生検の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイで解析した。乳がんは多様性の高いがんでサブタイプごとに異なる特徴をもつため、治療感受性に関わる分子機構も異なる可能性が高いと考え、サブタイプに分類の後、解析を行ってきた。しかし、多数の遺伝子群の中から治療抵抗性に関わる主要な遺伝子を同定するのは非常に困難であり、そこで、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野の協力のもと、マイクロアレイの遺伝子発現情報から遺伝子ネットワーク解析を行うことで、治療抵抗性にかかわる遺伝子ネットワークおよび中心的に機能している遺伝子(ハブ遺伝子)を同定するとともに複数の遺伝子発現シグネチャの組み合わせから治療抵抗性予測システムの構築を行うった。 まず、パクリタキセルによる治療効果は組織病理学的な治療効果判定基準に基づいて無効から著効までGrade(0、1a、1b、2、3)で判定されており、傾向性検定によりこのGradeと相関傾向にある発現変動を示す571遺伝子(p<0.05)を同定した。ネットワーク解析には、この571遺伝子を用いて(1)ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータに搭載されているネットワーク推定ソフトウェアSiGN-BN2によるネットワーク推定と(2)Genome Network Platform3のPPI Networkとのマッチングの2通りの方法で解析した。それぞれのネットワーク解析から得られた遺伝子‐遺伝子を結んだ枝(エッジ)の遺伝子ペアに関して尤度比検定を行うことで尤もらしいエッジを調べ、2つのネットワーク解析からの結果で共通するエッジを同定した。この遺伝子ペアの片方は傾向性検定およびネットワーク解析でも上位に位置した遺伝子でパクリタキセル抵抗性において大変重要なかかわりがあると考えられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はすでに、パクリタキセル感受性にかかわるエッジを同定しており、この遺伝子ペアの片方は傾向性検定およびネットワーク解析でも上位に位置する遺伝子でパクリタキセル抵抗性において大変重要なかかわりがあると判断できるものであり、次年度はこの検証を進める計画である。以上より、、本研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に同定したエッジに関し、今後は抵抗性にかかわるこれらの遺伝子の機能について情報学的及び分子細胞生物学的手法を駆使して、検証するとともに、もう一つの目的である予測システムの構築も進めていく計画である。
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