研究領域 | システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発 |
研究課題/領域番号 |
25134710
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 冬木 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30184493)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発がん / ゲノム不安定生 / マウス / ゲノム解析 |
研究概要 |
本研究の柱は、DMBA-TPA処理による皮膚発がんを利用した前向き(prospective)な腫瘍クローン組織の採取とDNA解析である。H25年度の本研究によって、このような経時的観察が可能であることを確認することができた。すなわち、7-8週齢FVB/Nマウス背部皮膚を剃毛後、化学変異原であるDMBA (dimethylbenz(a)anthracene)を1回塗布後、発がんプロモーターであるTPA (tetradecanoyl–phorbol-acetone)を2-3日の間隔をおいて週2回20週間継続した。マウスはTPA処理開始後7-8週頃より良性腫瘍であるパピローマを発症し始め、TPA処理を終了する20週には、その数が1個体あたり約30個程度に達する。その中の一部のものが扁平上皮がん(以下、SCC, squamous cell carcinoma)に悪性化し、さらに、リンパ節等への転移を示す。この過程で、1個体あたり、5~10個の特定のパピローマクローンについて約10週時より経時的に一部細胞を採取するとともに、残りの残存組織については、TPA処理を繰り返した。その結果、初期には明らかなパピローマとして認められる腫瘍の中には、やがて自然消退してしまうもの、パピローマの段階で腫瘍径を増大させるもの、パピローマから扁平上皮がんに進展するものが出現し、それらの組織サンプルを前向きに経時採取できることが明らかとなった。また、多くのマウス個体では、最終的にそけい部リンパ節転移腫瘍が認められた。この原発巣は明らかではないが、1個体あたりに発生する扁平上皮がんの数が1個である場合には、それに由来する可能性が高いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の研究を予定している本研究では、腫瘍サンプルの採取法と得られた時系列腫瘍のDNA解析をふたつの柱としているが、初年度においてその第一の柱を完成することができたので、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
発がん実験をより大規模に実施すると同時に、得られつつある腫瘍サンプルをディープシーケンシングすることで発がん進化をゲノム情報から解析する。
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