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2013 年度 実績報告書

バイオインフォマティクスを活用したp53ネットワーク探索と癌治療への応用

公募研究

研究領域システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発
研究課題/領域番号 25134715
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関札幌医科大学

研究代表者

時野 隆至  札幌医科大学, 医学部, 教授 (40202197)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードp53 / ゲノム / バイオインフォマティクス / がん抑制遺伝子 / 転写因子
研究概要

次世代シーセンサーによる網羅的な解析により、ヒトがんゲノムの概観が明らかになってきた。がんドライバー遺伝子は12から20種類のシグナル経路に分類することができ、これらのシグナル経路の全貌を解明することが、がんの基礎研究において最も重要な課題の1つである。多種類の悪性腫瘍において最も高頻度に変異が検出されるのががん抑制遺伝子p53であり、約半数以上のがんでp53経路の異常が見られる。したがってp53の直接の転写標的を探索することは重要であり、これまで多くのp53転写標的遺伝子を同定してきた。
本研究では新規のp53転写標的を同定するために、ヒト全ゲノム配列およびクロマチン免疫と次世代シーケンサを組み合わせて(ChIP-seq)、ヒトゲノムからp53結合部位 (ChIP-seq peaks) を探索した。次に、バイオインフォマティクスを利用した網羅的なp53結合配列 (p53 motif) 予測とChIP-seq peaksからのデータを組み合わせて、網羅的にp53標的lincRNA(large intergenic non-coding RNA:長鎖遺伝子間非コードRNA)の同定を試みた。
今後はこのようなp53の基礎的研究から新たな診断法やがん治療開発への臨床応用につながる研究を展開したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は新規のp53転写標的を同定するために、ヒト全ゲノム配列およびクロマチン免疫と次世代シーケンサを組み合わせて(ChIP-seq)、ヒトゲノムからp53結合部位(ChIP-seq peaks)を探索した。同定したChIP-seq peakの約半数は遺伝子間領域に存在することがわかったので、長鎖遺伝子間非コードRNA (lincRNA: large intergenic non-coding RNA) がp53の転写標的の候補として考えられた。
次に、バイオインフォマティクスを利用した網羅的なp53結合配列(p53 motif)予測とChIP-seq peaksからのデータを組み合わせて、網羅的にp53標的lincRNAの同定を試み、23個のlincRNAがp53によって転写誘導されることを確認できた。さらに機能的解析により、このうち特定のp53標的lincRNAの発現抑制がp53関連アポトーシス誘導を調整したり、特定の遺伝子群の発現を促進したりする結果を得た。この結果は、腫瘍抑制を含めた多様な生理的機能においてp53とlincRNAが複雑な転写ネットワークを形成していることを示唆している。
現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後、次世代シーケンサーで得られる大量のデータの迅速な蓄積と解析を継続するため、大容量のサーバーの確保が課題になると考えられる。この場合には、札幌医科大学附属情報センター等への協力要請が必要である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Identification and analysis of large intergenic non-coding RNAs regulated by p53 family members through a genome-wide analysis of p53-binding sites.2014

    • 著者名/発表者名
      Idogawa M, Ohashi T, Sasaki Y, Maruyama R, Kashima L, Suzuki H, Tokino T
    • 雑誌名

      Human Molecular Genetics

      巻: 23 ページ: 2847-2857

    • DOI

      10.1093/hmg/ddt673.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Forkhead transcription factor FOXF1 is a novel target of the p53 family and regulates cancer cell migration and invasiveness.2014

    • 著者名/発表者名
      amura M, Sasaki Y, Koyama R, Takeda K, Idogawa M, Tokino T
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 印刷中 ページ: -

    • DOI

      10.1038/onc.2013.427.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AKR1B10, a transcriptional target of p53, is downregulated in colorectal cancers associated with poor prognosis.2013

    • 著者名/発表者名
      Ohashi T, Idogawa M, Sasaki Y, Suzuki H, Tokino T
    • 雑誌名

      Molecular Cancer Research

      巻: 11 ページ: 1554-1563

    • DOI

      10.1158/1541-7786.MCR-13-0330-T.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Methylation of a panel of microRNA genes is a novel biomarker for detection of bladder cancer.2013

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T, Suzuki H, Nojima M, Kitamura H, Yamamoto E, Maruyama R, Ashida M, Hatahira T, Kai M, Masumori N, Tokino T, Imai K, Tsukamoto T, Toyota M
    • 雑誌名

      European Urology

      巻: 63 ページ: 1091-1100

    • DOI

      10.1016/j.eururo.2012.11.030.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DNA methyltransferase 1 is essetial for initiation of the colon cancers.2013

    • 著者名/発表者名
      Morita R, Hirohashi Y, Suzuki H, Takahashi A, Tamura Y, Kamaseki T, Asanuma H, Inoda S, Kondo T, Hashino S, Hasegawa T, Tokino T, Toyota M, Asaka M, Torigoe T, Sato N
    • 雑誌名

      Experimental and Molecular Pathology

      巻: 94 ページ: 322-329

    • DOI

      10.1016/j.yexmp.2012.10.004.

    • 査読あり
  • [備考] 札幌医大フロンティア研ゲノム医科学部門

    • URL

      http://web.sapmed.ac.jp/canmol/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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