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2013 年度 実績報告書

ゲノム領域特異的ヒストン修飾の変更技術による新たながんエピゲノムのシステム理解

公募研究

研究領域システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発
研究課題/領域番号 25134718
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

永瀬 浩喜  千葉県がんセンター(研究所), 研究所, 研究所長 (90322073)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードエピジェネティクス / ヒストン修飾 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / ピロールイミダゾールポリアミド / がん
研究概要

遺伝子の配列ではなく、その遺伝子ゲノムの周囲のタンパク質の酵素修飾の変化であるエピジェネティックな変化をゲノム上の特定の部位で塩基配列特異的にコントロールする技術をピロールイミダゾールポリアミド(PIP)とヒストン修飾酵素の阻害剤(SAHA)の複合体(PIP-SAHA)を合成することで実現し、特定のゲノム領域に誘導することに成功している。(特許第4873510)この技術により、実際にがんの原因となるエピジェネティックな変化、個々人のがんを特徴づける変化を強制的にがん細胞に導入し、その因果関係や機能を類推することが出来ると考えられる。まずヒト正常皮膚由来線維芽細胞の性質を変化させることが出来る化合物を含むランダムライブラリー(32種類の化合物)を作成し、それぞれの化合物投与後の遺伝子の発現パターンを解析した。さらに使用したヒト正常皮膚由来線維芽細胞の全ゲノム配列を決定するため75ゲノム分の全ゲノムシークエンスを行った。このゲノム解析結果を現在算出中である。それそれの化合物はゲノムの特定の配列を認識すると考えられるため、このゲノム認識部位と発現パターンから化合物によるエピジェネティクな遺伝子発現制御パターンについて関連解析を行うことを次年度に企画している。これらの遺伝子制御、ネットワーク解析を当該研究分野の研究者と連携して試み、さらに、化合物の腫瘍に対する効果を類推し、新たながん治療標的、がん治療薬としての開発への糸口を探る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

化合物のライブラリーを作成し、がん細胞株への投与を試みたが明らかな細胞増殖の変化や細胞形質の変化は得られなかった。このため正常細胞で同様の実験を行う事を先に行う事とした。正常細胞での32種類の化合物の投与後の遺伝子発現の解析データを取得し、使用した細胞の全ゲノム解析を行った。このプロセスに時間を要している。最終的に目標とするがん細胞での評価にまで行き着けるかは問題があるが、少なくとも新たなヒストンアセチル化のゲノム領域特異的な誘導と発現パターンの解析が正常細胞であるが行える見込みと考えている。

今後の研究の推進方策

がん細胞ではゲノム配列に多くの変異が起こっているため、正常細胞でエピゲノムを変更し、遺伝子発現パターンを変更することをまず試みた。この結果とゲノム配列情報を基に32種類の化合物がそれぞれ異なる遺伝子配列を特異的に認識することで、異なる遺伝子発現のパターンを生み出していることから、ゲノムのアセチル化をどのように変更すれば特定の遺伝子発現を制御できるかを検討する。この正常細胞での結果を基に、がん細胞への同様のアプローチが成り立つかを検討するという段階を踏んだ研究方針に変更し最終的にがん細胞のエピジェネティクスの変更を試み、抗がん作用を有する化合物を開発可能かを検討する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Genome-wide screening of aberrant DNA methylation which associated with gene expression in mouse skin cancers.2015

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara K, Ghosh S, Liang P, Morien E, Soma M, Nagase H.
    • 雑誌名

      Molecular Carcinogenesis

      巻: 54(3) ページ: 178-188

    • DOI

      doi: 10.1002/mc.22085

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distinct DNA-based epigenetic switches trigger differential transcriptional activation in human dermal fibroblasts.2014

    • 著者名/発表者名
      PandianGN, Taniguchi J, Junetha S, Sato S, Han L, Saha A, AnandhaKumar C, Bando T, Nagase H, Vaijayanthi T, Rhys D. Taylor RD, Sugiyama H.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 4 ページ: 3843

    • DOI

      doi: 10.1038/srep03843

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Synthetic Small Molecule Enforces Targeted Transcriptional Activation of Germ Cell Genes in a Human Somatic Cell.2013

    • 著者名/発表者名
      Taylor RD, Asamitsu S, Takenaka T, Yamamoto M, H131. Han L, Pandian GN, Junetha S, Sato S, Anandhakumar C, Taniguchi J, Saha A, Bando T, Nagase H and Sugiyama H.
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie

      巻: 52 ページ: 13410-13413

    • DOI

      doi: 10.1002/anie.201306766

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of MMP-9 by using a pyrrole-imidazole polyamide reduced cell invasion in renal cell carcinoma.2013

    • 著者名/発表者名
      125. Sato A, Nagase H, Obinata D, Fujiwara K, Fukuda N, Soma M, Yamaguchi K, Kawata N, Takahashi S.
    • 雑誌名

      International Journal of Oncology

      巻: 43 ページ: 1441-1446

    • DOI

      doi: 10.3892/ijo.2013.2073.

    • 査読あり
  • [学会発表] A novel alkylating pyrrole‐imidazole polyamide specifically targeting KRAS codon12 mutations preferentially suppresses the malignant phenotypes in colon cancer cells bearing G12D or G12V mutation2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Nagase, Kiriko Hiraoka,Takahiro Inoue,Toshinori Ozaki,Takayoshi Watanabe,Ken-ichi Shinohara,Nobuko Koshokawa
    • 学会等名
      An AACR Special Conference on RAS ONCOGENES:FROM BIOLOGY TO THERAPY
    • 発表場所
      オーランド 米国
    • 年月日
      20140224-20140227
  • [学会発表] Precision Medicineを目指したオンコジェニックドライバーを標的とした治療2014

    • 著者名/発表者名
      ・永瀬浩喜、平岡桐子、井上隆博、渡部隆義、越川信子、尾崎俊文
    • 学会等名
      第23回癌病態治療研究会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-06-12 – 2014-06-13
  • [学会発表] 標的ゲノム配列特異的なヒストンアセチル化の誘導2013

    • 著者名/発表者名
      永瀬浩喜, 越川信子, 渡部隆義
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20131003-20131005
  • [備考] 千葉県がんセンター研究所 がん遺伝創薬研究室

    • URL

      http://www.pref.chiba.lg.jp/gan/kenkyujo/soshiki/iden/index.html

  • [備考] がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動

    • URL

      http://ganshien.umin.jp/public/research/main/nagase/index.html

  • [産業財産権] ドライバーオンコジーンの遺伝子変異を標的にアルキル化する新規アルキル化剤2013

    • 発明者名
      永瀬浩喜、杉山 弘、板東俊和
    • 権利者名
      千葉県
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-214044
    • 出願年月日
      2013-10-11

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公開日: 2015-05-28  

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