研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
25135701
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡谷 貴之 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00312637)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / 物体表面の質感 / 質感の画像認識 / 画像特徴 / ディープラーニング |
研究概要 |
本研究計画では,コンピュータビジョンと機械学習の方法論を用いて,光沢感や透明感といった物体表面の質感を画像から認識するシステムの工学的実現を目指している.目的達成のため当初計画では,1.事前知識と不変量に基づく画像特徴のデザイン,2.ディープラーニングによる画像特徴の学習,3.新たな認識アルゴリズムの実現,4.学習データサイズの向上という4つのアプローチを考え,これにしたがって実際に研究を進めた.まず4については,これまで,10マテリアル各100枚ずつの画像セット(Flickr Material Database)が分野で最も一般的だったが,これを10倍に拡大したデータセットを構築すべく作業をすすめ,完成させた.2については,ディープラーニングの画像認識応用への研究が当該年度において同分野で加速度的に進みつつあり,その成果を本研究計画に取り込むことが研究の一つの柱となった.特に,一般物体認識のために訓練したディープニューラルネットをそのまま他の認識タスクに利用する方法が一般的になりつつあり,この方法論を質感認識にも適用したところ,従来法に比べて一定の精度向上を確認できた.さらに4で構築した学習データを用いてディープニューラルネットを訓練したところ,これと匹敵する精度を達成できそうなことが現時点で確認できつつある.1と3については,現在も検討を進めており,計画の残りの期間に何らかの成果を報告できるようにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記した通り,目標達成へむけて4つのアプローチをとっている.うち2つについてははっきりとした成果を挙げることができ,これらは学会発表・論文出版を通じて公表予定である.さらに残りの2つについても,初年度の研究によりいくつかの可能性が開けてきており,これらを2年目に追求することで,良い成果を得られものと考えている.以上により,研究計画はおおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究の進捗をふまえ,2年目は次のように研究を進める計画である.第一に引き続きディープラーニングによる質感画像認識手法を研究する.特に,質感認識と物体認識その他の認識タスクとで,認識に向いた特徴がどのように違うのかを明らかにすることを主題とする.また,ディープラーニングを認識タスクのみに用いるのではなく,自然画像統計のより高精度なモデリング手法として位置づけ,質感にまつわる多様な問題解決に応用する方法を考えてゆく.例えば,物体表面の映り込みとテクスチャを分離する方法を構築することを検討している.
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