研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
25135702
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 色覚 / 色の見えのモード / 質感 / 光源色 / 表面色 / 灰色 / 茶色 |
研究概要 |
色の見えのモードと質感の関連に関する研究を行うため,心理物理実験に用いる装置の構築を行った.「色の見えのモード」とは同じ光でも光源として見えるか物体として見えるかで色の見え方が変わる現象であり,例えば表面としては灰色に見える光も,光源に見える状態(光源色モード)では白色に知覚される.色の見えのモードは,光源色モードと表面色モードが代表的であり,この2状態間を変化する視覚刺激を呈示する装置を構築する必要があった.特に光源色モードは,物体表面に強いスポット光を当てて発光しているかのごとく見える状態であり,通常のコンピュータディスプレイでは実現が困難である.そこで当初は,液晶プロジェクターを対象物に投影するプロジェクションマッピングによる実現を計画していた.しかし,試作の段階でプロジェクターからの光が対象物の周囲へ漏れることにより光源色モードの知覚を得る事が難しく,また,プロジェクターと対象物の精密な位置合わせが困難である事が判明した.光強度の強いプロジェクターは存在するが,消光比が一定のため黒も明るくなってしまいコントラストが高くならない.実際に複数の実験参加者を用いて評価をさせたが光源色モードの知覚が得られなかった.そこで,有機ELディスプレイを導入し,消光比が 1:10,000 以上の高コントラストにより光源色モードをコンピュータ画像で再現する事が可能となった.平成25年度はこの装置を用いて初期的な実験を行うに留まったため,対外発表できる成果は無いが,新学術領域の班会議において途中経過を報告した.平成26年度はこの装置での実験を増やし,対外的に発表できる成果を得る予定である.また,同じ新学術領域で乳幼児の視覚研究を行っているグループと共同研究を行い,乳幼児の色カテゴリーに関する知覚特性について有益な知見を得る事ができた.その成果は色彩学会の研究会において報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画調書において予定していた方法では光源色モードの表示を実現する事ができなかったため,装置の構成に関する計画変更を余儀なくされたため.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に心理物理実験を行う装置が構築できたことは予備実験により確認できたため,平成26年度にはこの装置を用いて実験を行い,色の見えのモードと質感知覚に関する心理物理学的な知見を得る予定である.同時に,脳活動計測実験によって色の見えのモードの知覚に関連する脳部位と質感知覚に関連する脳部位の相関性について検討を行う計画である.研究成果が得られ次第,対外発表を行う予定である.
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