研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
25135711
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
勝山 成美 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00291906)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アクティヴタッチ / 多感覚統合 / マグニチュード推定法 / ボディイメージ / 機能的MRI |
研究概要 |
これまでに我々は、アクティヴタッチによる物体の硬さ知覚は、視覚情報の影響を受けて成り立つことを行動実験によって示した。被験者の体の正中に鏡を置き、その表と裏側に左右の手をそれぞれ置いてもらう。鏡に写った左手の像を見ながら両手を同時に動かすと、あたかも鏡像の左手が右手のように感じられる。この現象をミラーハンド錯覚という。この時、両手に異なる硬さのスポンジパッドを呈示し、鏡像を見ながら両手で同時にパッドを押し、右手で知覚されたパッドの硬さを回答してもらう。右手には常に同じ硬さのパッドを呈示したのだが、被験者は柔らかいパッドを押している左手の鏡像を見ていると右手でも柔らかいパッドを押しているように感じ、より硬いパッドを押している鏡像を観察すると右手でも硬いパッドに触れているように感じた。このような硬さ知覚の変化は閉眼で行なうと観察されなかった。また、両手を交互に動かしてパッドを触知しても生じなかった。これらのことから、アクティヴタッチによる硬さ知覚は視覚情報によって変化すること、それには視覚と触覚入力が同期していることが重要であること、が明らかになった。 このような硬さ知覚の変化が脳のどこで生じているのかを調べるため、機能的MRI実験を行なった。行動実験と同様に、被験者は両手に呈示されたパッドを同じタイミング(同期条件)、または交互に(非同期条件)触知し、鏡の裏側の手で知覚された硬さを回答してもらった。その結果、同期条件では、右の第二次体性感覚野と運動前野に活動が観察された。非同期条件ではこれらの領域に活動は見られなかった。このことから、視覚と触覚情報を統合し、アクティヴタッチによる硬さ知覚を成立させるには、右の第二次体性感覚野と運動前野が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の目標は、機能的MRI実験を行なうことにあった。そのため、どのようにスキャナ内でミラーハンド錯覚を行なうかを様々な方法で検討したが、最終的に鏡を付けたアクリル製の台と、ヘッドコイル上に設置する反射鏡で行なうことになった。この検討に時間を要したため、最終年度は被験者数を増やして機能的MRI実験を行ない、本研究のまとめを行なう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
達成度の項でも記述した通り、平成25年度は機能的MRI実験のための準備に予定より時間を要したため、被験者数が少なかった。平成26年度は、被験者数を増やして実験を行ない、行動実験と機能的MRI実験のまとめを行なう。
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