研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
25135721
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
船橋 新太郎 京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (00145830)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前頭葉眼窩部 / 選好性 / 視覚刺激 / 質感 / 単一ニューロン活動 / 選択課題 / 快情動 |
研究概要 |
本研究では、選好性に影響を与える視覚パラメータの行動学的検討と同時に、選好性判断に関わる前頭葉眼窩部の役割を検討している。2頭のサルより現在までに182個の単一神経活動を前頭葉眼窩部から記録し、解析した。行動実験で使用した50種の視覚刺激の中から、選択率の高い刺激群から5種、選択率の低い刺激群から5種選択して作成した10種の刺激群を2つ作成し、選択行動課題遂行時の神経活動を検討した。同時に、50種の原刺激や、その色味や粗さを変えた刺激を1種づつ順次呈示し、前頭葉眼窩部神経細胞の応答を検討した。 多くの細胞で視覚刺激に対する応答が観察された。応答潜時は250-300msで、一過性の興奮性応答を示すものと、一過性の抑制性応答を示すものが存在していた。また、刺激選択性も多くの細胞で観察された。さらに、原刺激、色味や粗さを変えた刺激に対する応答を比較したところ、多くの細胞では応答に差がなかったが、少数の細胞で目の粗い刺激に対する応答の減弱が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の計画の1年目で、2頭のサルの前頭葉眼窩部より182個の単一神経細胞活動を記録し、その大部分の神経細胞で使用している50種類の視覚刺激に対する応答が観察されている。これらの視覚刺激に対する応答の大小と、行動で観察されたこれらの刺激の選択率の大小との間に、有意な相関の見られる神経細胞がこの脳領域にどれくらい存在するかの検討が、本研究の目的の一つであることから、その目的を検討するための基礎的なデータが今年度の研究で得られたと考えられる。 同時に選択課題実行時の神経活動のデータも充分に得られており、解析の基盤となるデータが今年度の研究で得られている。
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今後の研究の推進方策 |
選好性に影響を与える視覚パラメータの行動学的検討と同時に、選好性判断に関わる前頭葉眼窩部の役割の解明が研究の目的である。今後は選択行動課題実行時の活動に注目し、刺激選択期ならびに選択刺激の注視期に興奮性活動が観察されるかどうか。同一刺激が呈示されても、選択される場合と選択されない場合で、刺激選択期の応答の大きさが異なる細胞が存在するかどうか。また、選択される刺激の違いにより、選択刺激の注視期の活動に違いが見出されるかどうか。等に注目して研究を継続する。同時に、視覚刺激に対するニューロン活動の違いと、行動で観察された刺激選択性の違いの間にどのような関係があるかをさらに検討し、選好性判断に関わる前頭葉眼窩部の役割を検討する。
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