研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
25135735
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
和田 有史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (30366546)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 質感 / 鮮度 / 弾性 / 視覚 |
研究概要 |
食品の視覚的質感は、鮮度、損傷、テクスチャーなど多次元的に評価される。本研究では、鮮度の個体差・損傷・物性の視知覚に焦点を当て、食品の多次元的質感視知覚にアプローチする。本年度は特に視差が鮮度知覚に与える影響と視覚的運動による質感知覚について検討した。 視差が質感に与える影響については両眼視差や運動視差が光沢感に影響を与えることは示されている。しかし鮮度知覚に影響を与えるかどうかはまだ示されていない。そこで本研究では、キャベツ画像を刺激として、両眼視差が鮮度知覚に影響を与えるかどうかを検討した。撮影時には複数の照明条件下で撮影した。その結果、視差がある条件では鮮度を高く評価する傾向を見いだした。 運動による物性の知覚については、弾性の基底要因を検討した。ネオンカラー拡散をともなう主観的な面の頂点を支点とした垂直線の振り子運動において誘導図形間の位相差を変化させると、物性の異なる面の運動が知覚される。そこで、非剛体運動が知覚されやすい位相差30、90°条件下で、運動の振幅と周期に規則的な変化を加えたときに、弾性の知覚にどのような印象があるかを検討した。例えば弾性については周期が時間経過につれ短くなると弾性が高くなる傾向にあり、30°条件の周期が長くなる条件では、振幅の変化も影響した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2次元画像刺激作成のためにキャベツなどをサンプルとしたデジタル画像の撮影を行ったが、撮影条件の探索に時間を要した。また、従来の質感知覚で行われている光沢感についての両眼視差の影響の検討も比較条件として行うことを試みたために、それに利用するCG、実写の両者の刺激作成を行った。その過程で質感の実物サンプルの経時変化予防の対処にも検討することになったため、多くの時間を要した。 その一方で、計画よりも多くの撮影条件や刺激についての検討を行うことになったため、研究対象の範囲は拡がった。
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今後の研究の推進方策 |
現状では、両眼視差による食品品質の精度向上を示すデータがとれていないため、運動視差の影響を検討する。 また、触覚と視覚的な物性判断の対応関係を検討するため、バネ・もしくは寒天を用いた視覚刺激と触覚によるマッチングを行うクロスモーダルマッチングの実験を行う。 エキスパート知覚については、コントロールして衝撃を与えたモモ表面をエキスパートに画像のみを観察した条件での品質判断実験を行う。また、画像統計量に基づいて、パーセプトロンが品質判断が可能であるかどうかを検証する。
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