研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
25135736
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
南本 敬史 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50506813)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | サル / 意欲 / 情動 / 遺伝子改変 / 発声 |
研究概要 |
本研究は、これまでに培ったマーモセットの音声的情動反応の解析法などを基に、神経生理、解剖学的研究を行うことで、「好ましい」という正の情動にかかわる神経回路、神経活動を特定し、視覚認知から情動反応が誘起される神経機構の解明を目指す。 H25年度は(A)マーモセットの「好ましい」という情動表出を音声により検出する方法を確立し、(B)その情動表出に特異的に関連する側坐核の部位を特定することを試みた。まずマーモセットの正の情動表出の指標に利用可能な音声を抽出するため、数ある音声のレパートリーの中から、①不安などの負の情動状態で発声されない、②たまに与えられる好物などを見て発声される、という特徴をもつ音声を複数選んだ。その中で、特にfood callとして知られる音声に着目し、好物を呈示する間隔を長くするなど、再現性高く誘発できる条件を探索中である。 一方、正の情動表出に特異的に関連する側坐核部位の同定のために、遺伝子改変受容体をウィルスベクターによる遺伝子導入法を用いて導入する技術を採用した。改変受容体を発現した神経細胞の活動は末梢から投与した薬剤で抑制することが可能である。まず、マカクサルの側坐核の背内側部にウィルスベクターを局所注入し、改変受容体を発現させることに成功した。このサルに標的薬剤を投与すると、サルの報酬獲得行動が障害された。側坐核の特定部位の機能特異性を検証する上で、この手法が有用であることが確認できた。加えて、マーモセットの側坐核にウィルスベクターを局所注入し、改変受容体を発現させることに成功した。今後、改変受容体発現部位を変えたり、量を増やすなどにより、情動表出に特異的な側坐核部位の同定につなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マーモセットの「好ましい」という情動表出を音声により検出する方法について、候補となる音声を同定できた。さらにその情動表出に特異的に関連する側坐核の部位を特定する手段として、ウィルスベクターによる遺伝子導入が利用可能であることを示し、道筋をつけた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度はマカクザルの側坐核から神経活動を記録し、情動/意欲に関わる視覚性反応の特性を調べ、側坐核部位における視覚に誘起される情動表出に特異的な神経活動特性を明らかにするのとともに、視覚野から同部位への神経連絡を同定する。
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