公募研究
ヒトの光沢知覚は形状知覚とも関係していることが知られている。ヒトが光沢画像からどのような処理で3次元形状知覚を実現しているのかを調べるため、視覚処理を参考にしたアルゴリズムにより1枚の光沢画像からの3次元形状復元を試みた。今年度において以下のアルゴリズムを開発した。1.第一次視覚野で行われている様な方位抽出をフィルタ処理により行い、「方位場」を算出する。光沢画像においては、この「方位」と「形状曲率」とが関係することが知られている(*)。2.その関係性をコスト関数として定式化する。その際、曲率の符号(山折りか谷折りか)に関しては、直接的な情報が方位場から得られないため、未知のバイナリパラメータを用いて記述する。3.コスト関数最小化に平均場アルゴリズムを用いることで、最適なバイナリパラメータ、つまり山折りか谷折りかを推定する。4.それを元にコスト関数最小化により3次元形状を復元する。以上の方法で単純な形状については1枚の画像からでも形状復元が可能であることを明らかにした。この内容については特許出願を行った後に学会発表を行った。上記の様な形状復元アルゴリズムとヒト形状知覚との関係性を調べるため、心理物理実験も試みた。まず、gauge figure taskと呼ばれる一般的な手法を用いた実験を行った。その後、光沢画像からの形状復元の際にポイントとなる山折りか谷折りかの知覚を答えさせる課題を考案した。このタスクにおいては、鏡面反射のみのミラー物体画像と鏡面反射のないマット画像で大きな成績の差が見られることを明らかにした。(*)光沢画像においては、周囲の環境光が表面で反射されて画像に反映される。そのとき、物体表面の曲率が高い方向には周囲の環境光は縮み、低い方向には引き伸ばされる。つまり、物体表面は画像方位の向きには曲がっておらず、その直交方向には曲がっているという関係性が導かれる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Neuroscience
巻: 34(33) ページ: 11143-11151
10.1523/JNEUROSCI.1451-14.2014
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2014/09/post-277.html