公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成25年度は、①SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現系の構築と、②PLNとSLNの単体の発現系の構築、に取り組んだ。①に関してはS100A1、Calreticulin、HAX1、HRCの4分子を最初のターゲットとし、まずは大腸菌での発現系の構築を試みた。その結果、S100A1では可溶性画分で十分量の蛋白を得ることに成功した。今後精製を行い、諸実験を行う予定である。一方、他分子に関しては殆ど発現を認められないか、発現しても不溶性画分として確認されるのみであった。そこで、Sf9/バキュロウィルス発現系での発現を試みた。その結果、calreticulinに関しては十分量の発現を得ることに成功した。今後精製を行い、諸実験を行う予定である。その他の分子に関しても、発現条件の検討を行っている最中である。研究開始当初では、SERCA2aとPLNの2種の変異アデノウィルスを用い、共発現を行なうことでSERCA2a/PLN複合体を得る予定であった。だが、実際に共発現後に精製を行なったところ、SERCA2aとPLNの解離が起こり、複合体として精製標品を得ることができなかった。これは、精製の際に高濃度のカルシウムイオンを用いたためであると考えられたため、②のPLN単体の発現・精製を行い、再構成によりSERCA2aとの複合体を形成させる必要が生じた。そこで、アデノウィルス/哺乳類培養細胞発現系により、PLNの野生型を含めて3種類のPLNとSLNの発現系の構築を試み、これに成功した。今後精製を行い、諸実験を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画は概ね達成できている。SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現については、目標分子の50%の発現にめどがたっており、精製系の構築により提案した諸実験を行なうことが可能になると思われる。SERCA2a/PLN複合体の精製に関しては、当初はSERCA2aとPLNの2種類の変異アデノウィルスによる共発現後、精製を行う予定であった。だが、高濃度のカルシウムイオン存在下での精製のため、複合体としての精製が困難であることが判明したことは想定外であった。だが、この問題も、PLNやSLNを単独で発現・精製する系を構築したことにより解決できたと考えている。
大腸菌での発現系構築に成功したS100A1、Sf9/バキュロウィルス発現系での発現系の構築に成功したcalreticulinの精製系の構築に取り組む。精製系の構築に成功したならば、提案している諸実験に取り組む。まだ発現系の構築に成功していないHAX1とHRCについては、その発現系の構築に引き続き取り組む。発現系の構築に成功したならば、提案の諸実験に取り組む。アデノウィルス/哺乳類培養細胞系による大量発現に成功したPLNとSLNについて、これらの精製系の構築に取り組む。精製系の構築に成功したならば、SERCA2aとの複合体形成実験に取り組む予定である。
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Nature
巻: 502 ページ: 201-206
10.1038/nature12578
巻: 495 ページ: 260-264
10.1038/nature11899