研究概要 |
ミトコンドリアを介した洞房結節自動能制御のメカニズムを明らかにすることを目的として、平成25年度は以下の検討を行った。 ミトコンドリアNa-Ca交換体(NCLX)が、拍動培養心筋細胞HL-1において、筋小胞体Ca動態を調節することで自動能を制御することを見出し、論文発表した(Takeuchi et al., Sci Rep, 2013)。この成果をさらに発展させ、洞房結節細胞自動能制御におけるミトコンドリアと筋小胞体のクロストークを調べるために、マウス単離洞房結節細胞を用いた細胞生理学的・電気生理学的解析のための評価系を確立した。 メカニズムの異なる2種類の既存の洞房結節細胞数理モデル(膜クロックモデル、Caクロックモデル)に新たにミトコンドリアCa動態を導入し、洞房結節自動能発生におけるミトコンドリアCa輸送担体の寄与を解析した。その結果、いずれのモデルでもミトコンドリアNCLXが筋小胞体Ca量を調節し、ミトコンドリアNCLXと筋小胞体CaポンプSERCAが機能連関した。さらに、活動電位の発火頻度に対して膜クロックモデルでは促進、Caクロックモデルでは遅延と逆の効果を呈した。細胞内Na濃度、持続性内向き電流が活動電位発火頻度に関与することが予測された。
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