公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
生命機能の理解および予測医学を実現するための心臓興奮シミュレーションには、イオンチャネルと薬物作用における膨大な情報が蓄積されているが、近年になって分子同定されたTRPチャネルの心臓における役割やデータの蓄積は、未だ不十分である。TRPチャネルは、酸化ストレスや酸性条件などで活性化される生体ストレス感知分子であることが知られているが、心臓での機能や不整脈発生機序における詳細な分子メカニズムは不明である。心臓では、正常時および病態時において酸化ストレスが多く発生することから、酸化ストレスで活性化するTRPチャネルは、不整脈基質として考えられる。そこで、正常時、病態時における心臓のTRPチャネルの分子、細胞、組織、個体レベルにおける機能やその役割のデータを取得し、心臓興奮シミュレーション研究と比較を行うことで新たな制御因子や不整脈の発生機構の発見を目指す。本研究課題、第一期の採択課題では、分子、細胞レベルでTRPM2活性は、相互作用タンパクによって制御されることを示した。本年度は、心臓におけるTRPM2の役割を組織、個体レベルで明らかにすることで、分子から個体レベルにおけるTRPM2の役割の全容を明らかにする。前年度に引き続き、単離心臓細胞を用いたTRPM2の機能評価を正常時、病態時のTRPM2 活性の定量的測定をパッチクランプ法を用いて、野生型、TRPM2欠損マウス由来単離細胞を用いて求めた。さらに、単離心筋のTRPM2の役割の解明を心室圧を野生型、TRPM2欠損マウス由来の心臓を用いて測定した。さらに、これらの実験は、TRPM2の関与を検討するために阻害剤の検討も行った。
2: おおむね順調に進展している
第一期の採択課題の結果である分子、細胞レベルのデータと、今期の採択課題である組織、個体レベルでのデータを合わせて、「心臓TRPM2は、虚血・再灌流障害を増悪させる」という題目で第91回日本生理学会大会シンポジウムで発表を行った。
今後、分子、細胞、組織、個体それぞれの階層において、取り残している必要なデータの取得とまとめを行い、論文報告をする準備を行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
Channels (Austin)
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