公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
心臓は個体の生存を維持するために電気的に興奮し拍動し続ける必要がある。この心臓電気的活動の頑健性(ロバストネス)は、心臓エネルギー代謝の頑健性と有機的に関連し維持されている。心臓の頑健性が破綻した状態である心不全においては、エネルギー代謝関連遺伝子の全般的発現低下が見られる。このような遺伝子発現変化は、飢餓状態やインスリン・シグナルの低下によっても引き起こされる。代表研究者は、心不全の進行過程において、全身の低栄養から心臓へのエネルギー基質供給が低下することにより、心臓の飢餓応答としてエネルギー代謝関連遺伝子の全般的発現低下を来たし、これがイオンチャネルなどへのエネルギー供給を低下させ心不全悪化につながると考えている。平成25年度は仮説検証の為のデータ収集を行った。マウスを絶食にし、24時間後、48時間後に、マウスを屠殺し解析した。摂食を維持したマウスをコントロールとした。体重、臓器重量を測定し、心臓における遺伝子発現をマイクロアレーで網羅的に測定した。また、心臓の代謝産物量をメタボローム解析を用いて網羅的に測定した。心臓のおかれている代謝環境を明らかにするために、主要代謝臓器である肝臓、骨格筋についてもメタボローム解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
絶食下のマウスについて、心臓のトランスクリプトーム、心臓、肝臓、骨格筋のメタボロームについて良好なデータを取得できた。
平成26年度は、平成25年度の実験データに基づき、飢餓時の心筋代謝を再現できるシミュレーションモデルを構築する。これにより、飢餓時心筋代謝応答の鍵となる分子やシグナル伝達経路を同定する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
PLoS One
巻: 12 ページ: e72173
10.1371/journal.pone.0072173
J Mol Cell Cardiol.
巻: 57 ページ: 72-81
10.1016/j.yjmcc.2013.01.007